時代、精神の表現を古里に 山形市出身・画家木嶋さん、本社と山形美術館に作品寄贈

寄贈した作品「零度2―2」について説明する木嶋正吾さん(左)=山形市・山形メディアタワー

 山形市出身の画家で多摩美術大教授の木嶋正吾さん(70)=東京=が、山形新聞社と山形美術館に作品計4点を寄贈した。同社には古里の光景を織り込んだ2002年作の抽象画「零度2-2」が贈られ、お披露目と感謝状贈呈式が12日、同市の山形メディアタワーで行われた。木嶋さんは「それぞれの時代の問題や精神、目に見えないものを表現してきた。多くの人に見てほしい」と話した。

 木嶋さんは同大大学院美術研究科修了。1980年代から、幾何学的な構成で金属片を貼り付けるレリーフのような絵画「零度」シリーズを手がける。新制作展で84(昭和59)年から3年連続最高賞を受賞し、国内外で個展を開いている。先月に同館で個展を開催したことを記念し寄贈した。

 「零度2-2」は縦259センチ、横182センチ。小さい頃に遊んでいた古い寺をイメージし、ベースの茶色は大地、銀色のアルミ板は石をそれぞれ表現した。山形メディアタワー1階に展示され、自由に鑑賞できる。

 同館には▽作家活動の原点となった黒一色の作品「絶対零度84-B」(84年、縦227センチ、横182センチ)▽水平、垂直を重視した構成に移行した時期の「零度99-27」(99年、縦194センチ、横130センチ)▽チラシやはがきなどを貼って剥がして表現した4点組のコラージュ「零形17-1」(2017年、縦182センチ、横364センチ)-の3点を寄贈した。

 贈呈式では、公益財団法人山形美術館代表理事の寒河江浩二山形新聞会長・主筆(山形新聞グループ経営会議議長)が「本県出身で活躍している画家の作品を展示でき、念願がかなった」とあいさつし、感謝状を手渡した。木嶋さんは「古里で作品を飾ってもらえるのは、大変ありがたく幸せ。これを機に精進していきたい」と語った。

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