【MLB】大谷は10年契約途中に条件付きで退団可能 特定の人物に紐づく「キーマン条項」

写真:大谷の契約には「キーマン条項」が含まれているようだ ©Getty Images

大谷翔平の異例契約については、連日新たな情報が判明している。当初は存在しないと思われていたオプトアウト権も含まれており、条件を満たした場合は契約を破棄し退団することが可能になるようだ。12月13日(日本時間14日)、『AP通信』が詳細を伝えた。

オプトアウトするための条件として設定されているのが、球団オーナーのマーク・ウォルターと、編成本部長のアンドリュー・フリードマンの2人だ。この2人のうちどちらかが球団を離れた場合は、その年のシーズン終了後にオプトアウトする権利が発生するようだ。

オプトアウトとは契約を途中で破棄する権利。契約で定められた特定のシーズン終了後に選手側が任意で契約破棄してFAになるかどうかを選択することができる。例えば10年3億ドル(3000万ドル×10年)の選手が5年目終了時にオプトアウト権を持っていた場合、自身の市場価値を考えて残りの5年1億5000万ドルを上回る契約を得られるかを判断し、より高額契約を得られると考えた場合はオプトアウトする、といった使い方がされる。

基本的にオプトアウトは選手にとってより良い契約を得るための条項だが、大谷の場合は少し事情が違うだろう。今回盛り込まれたオプトアウトはオーナーや編成責任者の去就が条件となっており、大谷にとっては現在好ましく思っている球団運営の方針が変わるのなら退団を選ぶ可能性があるというものだ。つまり、ウォルター・オーナーとフリードマン編成本部長の存在が大谷にとってドジャースを選んだ大きな決め手だったということだろう。

『USAトゥデイ』のボブ・ナイチンゲール記者によると、特定の人物と紐づくこの「キーマン条項」を用いて実際に退団したケースもあるようだ。元エンゼルス監督のジョー・マドンがレイズ監督時代、2015年まで契約が残っていたにもかかわらず2014年シーズン終了後に契約を破棄してカブスの監督に就任したことがあった。これは「キーマン条項」によるもので、当時レイズのGMを務めていたフリードマンが退団したことに伴い、マドン監督も退団を選んだ。つまり、フリードマンが”キーマン”として選ばれたのは今回が初めてではない。改めて編成責任者としての実力と評価がうかがえるエピソードだ。

大谷が自身の去就のキーマンとして指定したフリードマンは、大谷獲得後も積極的な動きを見せている。ドジャースにはトレード補強の噂があり、山本由伸の獲得にも意欲的だ。『The Athletc』のファビアン・アルダヤ記者によると、山本との会談でドジャース側は大谷、ムーキー・ベッツ、フレディ・フリーマンら3人のMVP経験者を同席させたという。山本も8~10年規模の契約が予想されており、もしドジャース入団が実現すれば、今後10年間大谷と山本がともにプレーすることになるかもしれない。

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