京都・京丹波町出身の十文字ことの人生や功績学ぶ 十文字学園女子大学の設立者

十文字ことの生涯について、写真を交えて講演する亀田さん(京丹波町役場)

 近代日本の女子教育に尽力した京都府京丹波町出身の女性・十文字こと(1870~1955年)の人生や功績を学ぶ講演会が町内2カ所で開かれた。ことが設立した十文字学園女子大(埼玉県新座市)の教授らが講師を務め、幅広い世代の町民が耳を傾けた。

 ことは府師範学校女子部や女子高等師範学校(現お茶の水女子大)で学び、鹿児島や府内の師範学校で教壇に立った。実業家と結婚し、1922年に同大学の前身「文華高等女学校」を設立した。

 町役場で10月上旬に開かれた町民大学では同女子大名誉教授の亀田温子さんと宮城道子さんが講演。町民ら約120人が聴いた。

 亀田さんはことの人生をたどり、大卒で20代後半で結婚、教員として全国転勤している点に注目。「明治に生まれながら、今の時代に通じる『超現代女性』」と表した。宮城さんは、ことらによる学校創設と、近年の女性たちの起業を比較し、双方の共通点を解説した。

 翌日には、ことが通った旧明俊校が前身の瑞穂小(同町橋爪)で、谷嶋美和乃助教が講演。高学年児童や住民ら約80人が聴いた。

 逆境の中でも学問への意欲を持ち続けたことを「学校を建てて教師になる、という夢を実現させた人物」と紹介した。意見交換では、児童たちは「諦めないのはすごい」「夢を持つことは大切だと思った」などと口々に感想を述べた。

 6年の児童(11)は「苦しい時期を耐え抜いて、夢を成し遂げた人だと分かった。自分は人を笑顔にできる仕事がしたい」と夢を語った。

 同町では今年5月、同大学と相互友好協力協定を締結したのを機に、ことの功績を再評価する機運が高まっている。

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