大分市戸次本町に「日本の暮らしを楽しむ」雑貨店 実家の金物店の一部改装、夫婦で営業【大分県】

実家の金物店の一角で「汀」を営む藤川鴻太郎さん(右)と妻のより子さん=大分市中戸次
90年以上続く金物店の店舗の一部を改装
店内にはこだわりの調理器具やデザイン性のあるカップなどが並ぶ

 【大分】大分市戸次本町地区で90年以上続く金物店内の一角に、全国各地のよりすぐりの商品や県内作家らの作品を扱う暮らしの道具屋「汀(みぎわ)」ができた。営むのは金物店店主の長男で、会社員の藤川鴻太郎(こうたろう)さん(28)、より子さん(29)夫婦。「歴史的建造物が立ち並ぶ通りの魅力づくりに協力できれば」と東京から移住し、リモートで仕事を続けながら休日に店を開けている。

 地区は交通の要衝として栄えた昔のにぎわいを復活させようと、町づくり団体などが町並み案内やイベント開催に取り組んでいる。近年はカフェや食品を扱う店の出店も相次ぐ。

 鴻太郎さんは高校生まで地元で育った。東京で就職し、より子さんと結婚。同じIT企業で働いている。遠隔勤務と副業が可能なことから、「観光や飲食で地区を訪れる人向けに自分たちなりのやり方で家業を手伝おう」と昨年4月、生活の場を移した。金物店の一部を改装して今年の秋から営業を始めた。

 新たな店は「日本の暮らしを楽しむ」をコンセプトに、台所用品や掃除道具、生活小物などを販売。手頃な価格でデザイン性のある物や環境に優しい天然素材の物、丁寧な作りで長く使える物を仕入れているという。座敷ぼうきやアルミ鍋といった金物店で扱う昭和レトロな商品も並ぶ。

 「県内にはいい物を作る作家がたくさんいる。作り手と使い手(消費者)をつなげる場になれば」。県内の工房や展示会に夫婦で足を運び、作家の思いやこだわりを聞いた上で販売交渉した作品も扱っている。

 金物店は1930年の創業。父の勝也さん(57)が3代目として後を継ぎ、地域の生活を支えている。「昔ながらの店の雰囲気も大切にしつつ新しいことを取り入れていきたい」と鴻太郎さん。贈答品などさらに商品のラインアップを充実させていくという。

 営業は原則土曜日。帰省客が増える年末の30日も開ける。詳細は藤川金物店「汀」のインスタグラム(@kanamono.fujikawa)で確認できる。

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