大分地方合同庁舎を移転建て替えへ 税務署と気象台集約、29年度業務開始目指す【大分県】

老朽化が進む大分地方合同庁舎=大分市新川町
移転する大分市中島西の敷地。現在は旧大分家裁の建物(中央)と大分税務署(右奥)がある=大分市中島西
移転予定地

 国土交通省九州地方整備局は、老朽化している大分地方合同庁舎(大分市新川町)の移転建て替えを計画している。同市中島西に新たな庁舎を建設し、大分税務署と大分地方気象台も集約する。2029年度までの完成と業務開始を見込む。

 同整備局によると、新庁舎は旧大分家裁と現在の大分税務署を合わせた約7千平方メートルの土地に建設する。鉄骨鉄筋コンクリート9階建て(延べ床約1万平方メートル)のビルに、七つの公的機関が入る。税務署を取り壊し、跡地に駐車場(約100台)を整備する。総工費は約50億円の見通し。

 現在の合同庁舎に入居する▽大分行政監視行政相談センター▽九州財務局大分財務事務所▽九州厚生局大分事務所▽大分労働基準監督署▽自衛隊大分地方協力本部―の5機関はいずれも新庁舎に移る。大分市内に独立した庁舎がある税務署と気象台(長浜町)も加わる。気象台の観測機器や標本木などは現在地に残す予定という。

 災害時の帰宅困難者の受け入れや津波からの避難場所といった防災拠点機能も持たせる。敷地内にはさまざまなイベントに使えるオープンスペースの配置も検討する。来年度中に基本・実施設計を終える。

 現在の合同庁舎は1969年に完成した。築50年を超え、外壁のひび割れや雨漏りなど建物の傷みは激しい。海に近い立地で、津波による浸水は最大4メートルと想定されており、災害時に機能しない恐れもある。

 税務署(64年完成)と気象台(70年完成)も老朽化が進む。業務スペースの不足や、エレベーターの未設置といったバリアフリー面での問題も生じていた。

 同整備局は「県庁や市役所にも近く、災害時に円滑な活動ができる庁舎を目指している。地域住民の防災拠点やまちづくりにも役立つようにしたい」と話した。

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