23年の大分県内、特殊詐欺被害2億9千万円超 偽装の手法が巧妙化【大分県】

チラシを掲げ特殊詐欺被害に注意するよう呼びかける県警安全・安心まちづくり推進室の職員=県庁
県内の特殊詐欺被害額と件数

 県内で今年確認された特殊詐欺の被害額は約2億9440万円(24日時点)で、昨年1年間(約2億1956万円)を大きく上回った。1千万円を超える被害が7件生じたほか、パソコンの修理費名目でだます手口が多発。電子マネーカードの購入先として対策が強化されたコンビニを避け、量販店を指定するケースが確認された。実在する会社名の自動音声を使用するなど、偽装の手法は巧妙化しており、県警は注意を呼びかけている。

 玖珠町では今月11日、70代女性が家電量販店を訪れ、約30万円分の電子マネーカードを買い求めようとした。不審に思った男性店長が警察に通報。女性は国際電話番号で携帯電話に連絡が入り、男の声で29万円分の購入を持ちかけられていたと分かった。

 県警によると、カードはレンタルビデオ店や大型量販店、ドラッグストアなどでも販売している。9月以降にコンビニ以外で買うよう指示されるケースが目立ち始めた。

 安全・安心まちづくり推進室は「これまで被害者はコンビニで購入するのが大半だった。警察が各店へ注意喚起を強めた結果、レジで被害を防ぐ事例が増え、犯罪者グループもそのことを意識したのだろう」と推測する。

 「NTTドコモ」や「NTTファイナンス」を名乗る自動音声による不審電話は12月に入って頻発している。音声案内に従って番号を押した場合、NTT職員を装った人物につながり「サイト登録料が未納」「支払わないと裁判手続きに入る」と金銭を要求される。

 警察官をかたる男が出て「あなたの携帯電話が犯罪に使われている」と言われ、現金を振り込むよう指示された人もいた。

 同推進室の高橋直樹室長(48)は「犯罪者側は悪知恵を働かせ、さまざまな方法でだまそうとする。電話やメールで金銭を要求されれば詐欺だと疑い、家族や警察に相談してほしい」と強調。年の瀬の慌ただしさに紛れて不審電話が増える恐れがあり、警戒するよう求めている。

<メモ>

 今年の特殊詐欺被害の件数は199件(24日時点)。昨年1年間の177件を既に上回っている。内訳は▽パソコンの修理費名目などでだまし取る架空請求詐欺被害 132件▽年金などの払い戻しを口実にした還付金詐欺 40件▽息子などを装ったオレオレ詐欺 9件―など。県警が11月までに摘発したのは59人(前年同期比4人減)で、実行役が10人。49人は犯罪者グループに通帳を譲り渡すなど犯罪を手助けした助長犯だった。

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