前の土地所有者に4億6,000万円納付命令 熱海土石流“行政代執行”で不安定な土砂を撤去した費用=静岡県【独自】

2021年7月の熱海土石流災害で、崩落の起点に残った不安定な土砂を撤去した行政代執行の費用について、静岡県が前の土地所有者に納付を命じていたことが分かりました。その額は、4億6000万円に上ります。

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ぽっかりと大きくえぐれた跡は、大量の土砂が流れ出した土石流の起点です。表面に植え付けられた草や木も、真新しい排水路も、業者の代わりに行政が整えたものです。代執行の総事業費は11億円に上りました。

熱海市伊豆山では2021年7月、大規模な土石流が発生し、28人が亡くなりました。起点にあった違法な盛り土が被害を拡大させたとされています。

県は、崩落後の起点に残った不安定な盛り土の撤去を求めて、盛り土の土地の前の所有者に措置命令を出しましたが実施されることはなく、県が行政代執行によって撤去しました。

関係者によりますと県は11月、土砂の撤去やのり面の整備などを含めた代執行の費用の納付を命じたということです。額は4億6000万円で、さらに汚染のあった土壌の処理に掛かった費用などは追って請求する予定です。

前の所有者は土石流災害から2年となった2023年7月、代執行の費用の支払いについて次のように答えていました。

<土地の前の所有者>
「私は払うつもりは全くありません。それは時系列の中から、いわゆる法律的根拠、いわゆる論理からいっても払う必要がないと言うのは、大概一般論から見ても、そんな難しい問題ではないと私は考えています」

代理人弁護士も「命令の取り消しを求めて県を訴える」としています。

一方、県は前の所有者の財産調査や財産の差し押さえも検討しています。

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