青森市の社会起業家で、県内の道路交通情報をまとめたウェブサイトの運営に長年携わっている葛西章史さん(55)が、道路の排雪判断にバスの運行情報を役立てる情報通信技術(ICT)システムの特許を取得した。ダイヤの乱れやバスが走行している車線などから、雪による交通への影響を把握し、排雪が必要かどうかを自動で判定する内容となっている。早期の実用化を目指し、道路を管理する国や県、市町村などに連携を働きかけていく方針だ。
システムでは、バスの遅れが発生している場所や遅れの程度、道路脇に堆積した雪の影響で普段とは異なる車線を走行するバスの位置情報、ドライブレコーダーの映像から分かる道路の幅の変化などの情報を基に、排雪の必要性を分析する。最終的な排雪の判断は、道路管理者が行う。
システムの活用を通じて、排雪作業を行うかどうかの素早い判断につなげることで、寒冷地での冬期間の交通機能低下を防ぐ狙いがある。システムを動かすためのプログラム、システムによる道路管理方法を含めた特許を11月末に取得した。
衛星利用測位システム(GPS)を活用して路線バスの現在地を確認できる仕組みは、青森市営バスをはじめさまざまなバス事業者が導入済み。バスに搭載しているドライブレコーダーを応用するなど、今ある装備や交通インフラを有効活用できるのが、今回のシステムの強みという。
葛西さんは「豪雪地帯だけでなく、雪に不慣れな地域でも、効率的な排雪にシステムを活用できる。行政と連携して除排雪のDX(デジタルトランスフォーメーション)を進め、安全安心な生活の実現に貢献できれば」と展望を語る。また国と県、青森市で試行する予定の除排雪連携「スクラム除雪」とも関連付けながら、「スクラム除雪を行う判断や、道路交通への効果の検証にも今回のシステムが役立てられるのではないか」と話した。