むつ中間貯蔵への搬出計画 年度内提示へ

中間貯蔵施設を取り巻く現状について宮下知事(左)に説明する宗東電常務(右)ら=28日、県庁

 東京電力ホールディングスの宗一誠常務執行役青森事業本部長は28日、青森県庁とむつ市役所を訪れ、事実上の運転禁止となる核燃料移動禁止命令が解除された東電柏崎刈羽原発(新潟県)から中間貯蔵施設(むつ市)に使用済み核燃料を搬出する計画について、「遅くとも2023年度内には示したい」と明言した。搬出計画は、施設を運営するリサイクル燃料貯蔵(RFS)が策定する3カ年の貯蔵計画とともに、県や市が事業者と安全協定を結ぶ上での前提となる。

 中間貯蔵施設は操業前の検査で、使用済み核燃料を入れたキャスク(貯蔵容器)1基を柏崎刈羽から運び入れる計画。規制当局が課した禁止命令によって検査や操業の時期を見通せずにいたが、27日の解除で「最大の懸案事項」(宮下宗一郎知事)が解消した。

 東電はRFSの親会社の一つ。28日、宗常務は宮下知事、山本知也むつ市長とそれぞれ面会し、「早急に搬出計画の策定に向けた技術的な整理を進める」とした。同席した高橋泰成RFS社長は搬出計画が提示され次第、貯蔵計画を「速やかに」示すとした。

 核燃料を用いた最終の検査には安全協定が必須。その締結協議に入るには両計画が出そろう必要がある。RFSは事業開始を「23年度下期~24年度上期」と見込むが「23年度は厳しい」(高橋社長)のが現状。搬出計画の提示時期が23年度末に近づくほど、「県・市議会での安全協定の議論は6月議会となって(24年度上期の目標達成には)きつい日程になる」(自治体関係者)との見立てもある。

 柏崎刈羽の再稼働に関し、宗常務は「地元(新潟県)の理解が大前提で、時期などを予断を持って言える状況ではない」と説明。一方で中間貯蔵施設への核燃料搬出について、宮下知事は「再稼働がなければ搬出できないということではない」との認識を示した。

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