庄川遊覧船、海外客どっと 台湾からの団体けん引

海外客が急増している庄川遊覧船=砺波市庄川町小牧

  ●12月 過去最多3000人超 コロナ禍前上回る

 砺波市の庄川遊覧船にインバウンド(訪日外国人)客がどっと押し寄せている。台湾を中心に団体客が急激に伸び、12月に入ってからは28日までに、コロナ禍前を大幅に上回る3千人超が訪れ、同月で過去最多を更新した。冬の富山を代表する観光スポットとして庄川峡の雪景色の人気が高く、活気に包まれている。観光関係者はさらなる誘客と、にぎわいの持続に期待を膨らませている。

 庄川遊覧船は砺波市庄川町の小牧ダムと南砺市利賀村の大牧温泉を結び、秋は紅葉、冬は雪景色を眺望できる船旅が楽しめる。雪がほとんど降らない台湾からの観光客を中心に人気を集めている。

 同社によると、12月の海外客は26日現在で前年同月の約5.8倍の3012人となった。台湾からの団体客が約8割を占め、同月ではコロナ禍前に最多だった2018年12月の1875人の6割増となり、過去最多を更新した。

 コロナが明け、雪景色を見られる時季を迎えた今月、台湾を中心に団体客が急激に伸びている。同社によると、砺波市の夏野修市長が11月末から台湾・台北市でトップセールスを行い、庄川遊覧船も含めた観光宣伝を展開した効果もあるという。今月中旬に乗員1人を増員し、遊覧船2隻をフル稼働させて増便態勢で対応している。

 22日の降雪後は雪景色を楽しむ海外客を乗せた県内外の大型バスが次々と訪れ、駐車場に所狭しと並んでいる。出航前の待合室は台湾中心の外国人観光客で埋まり、熱気に包まれている。

  ●雪景色が人気

 27日も大型バスが次々と訪れ、台北、高雄市からの旅行客25人を案内する添乗員の張凱閎さん(34)は「台湾の人はみんな雪が大好きで、北陸と東北は人気。富山は庄川峡の雪景色と、魚がおいしいので、みんな喜んでいる」と話した。

 庄川遊覧船は2007年度以前は海外客はゼロだったが、富山県や砺波市などのPR効果で2016年度に初めて1万人を突破し、18年度に1万6574人と最多となった。コロナ禍の20、21年度はゼロだったが、22年秋以降から徐々に入り込み客が戻り、23年度は現時点で最多だった18年度を上回るペースで推移している。

 庄川遊覧船は海外客に冬景色のポストカードを贈って顧客満足度を高めており、境不二夫取締役支配人は「良い印象を持ってもらうことが次につながる。今月に海外客が急激に伸びており、この勢いで1、2月も伸びてくれるとうれしい」と期待した。

台湾からの団体客でごった返す待合室

© 株式会社北國新聞社