五大尊蘇民祭中止へ 約830年の伝統が途絶える、花巻・石鳥谷

蘇民祭で激しい争奪戦を繰り広げる男衆=2020年1月31日、花巻市石鳥谷町五大堂・光勝寺

 花巻市石鳥谷町五大堂の光勝寺(佐藤宥弘(ゆうこう)住職)で2024年2月に予定されていた五大尊蘇民祭の中止が決まった。運営する住民の高齢化と担い手不足などが主な要因。25年以降も取りやめる方向で、約830年続くとされる伝統が途絶える。

 寺によると、当初、同16日に開催する方向だったが、寺の役員や同祭振興会の幹部が協議し継続困難と判断した。この日は、例年なら祭り前日に実施していた星祭の護摩祈祷(きとう)行事を行う。

 五大尊蘇民祭は1190年代から続くとされ、毎年旧暦の1月7日に実施される。護摩火で焼いた餅を参詣者に振る舞ったのが起源。明治期からは、一年の無病息災を祈願した木札365枚を麻袋に入れ、下帯姿の男衆が奪い合う行事として継続されてきた。

 2001年に市指定無形民俗文化財となった。新型コロナウイルス感染症の影響で、20年1月31日開催を最後に中止が続いていた。

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