小木のイカ記録的不漁 今季802トン、53年で最少 

船内から運び出される冷凍スルメイカ=能登町の石川県漁協小木支所

 石川県漁協の中型イカ釣り船が拠点とする小木港(能登町)で今季、冷凍スルメイカの水揚げが802トンとなり、記録が残る1971(昭和46)年度以降、最少だったことが29日、北國新聞社の取材で分かった。一方、「AKB(甘エビ、カニ、ブリ)」は好調で、ブリ、コウバコガニの水揚げは過去5年平均と比べ2倍超となった。不漁、豊漁とも原因の一つは猛暑の影響による海水温の上昇とみられるが、魚種によって明暗が分かれた。

 イカの水揚げは昨季から1150トンほど減り、過去最少だった2019年度(1568トン)の半分程度となる。

 小木支所によると、外国籍の違法操業船によるイカの乱獲で資源が減っているのに加え、今季はイカを餌とするクロマグロの増加が不振に拍車を掛けた。夏場の猛暑で海水温が上昇していることも資源減少の要因と考えられるという。

 小木港のイカ釣り船10隻は来年2月末までの漁期を残して操業を打ち切り、今月中旬以降、順に帰港している。29日は今季最後の水揚げが行われ、第31永宝丸から冷凍スルメイカが運び出された。

 今季は6月から9隻が、10月から1隻がそれぞれ日本海で操業。日本海での不漁を受け、8、9月に2年ぶりにロシアの排他的経済水域(EEZ)にも出漁したが、水揚げを大きく伸ばすことはできなかった。

 不漁でイカの価格が上がっているものの、水揚げの減少をカバーするまでには至っていない。燃料価格の高騰が続き、漁業者の安全を脅かす北朝鮮の弾道ミサイル発射も課題だ。小木支所の坂東博一参事は「今季は特に厳しい結果だった。来季は何とか上向いてほしい」と話した。

 県漁協能都支所(能登町)では29日、主に地元向けの約5トンが仲買人約50人によって次々と競り落とされた。主役のブリは約100匹で、サワラやスズキ、アオリイカも並んだ。

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