世界遺産「第1号」同士が姉妹城へ 姫路城とポーランド・バベル城 「平和の城」戦禍免れた歴史に共通点

世界文化遺産登録30周年を迎えた国宝・姫路城=姫路市本町

 日本初の世界文化遺産に登録され、今月に30周年を迎えた国宝姫路城(姫路市本町)は、1978年に世界第1号の一つに選ばれたポーランド「クラクフ歴史地区」の代表的な構成資産である「バベル城」と姉妹城提携を結ぶ。二つの城はいずれも第2次世界大戦の戦禍を免れており、観光に加え、平和交流も進める。(井上 駿)

 バベル城は同国の旧首都クラクフにあり、旧王宮や、歴代国王の戴冠式が行われた大聖堂などを備える。中世の建造で、14世紀ごろから繰り返された大規模な増改築により、ゴシック、ルネサンス、バロックなどさまざまな様式の建造物が現存。内部は博物館として公開されている。

 クラクフはホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)を描いた映画「シンドラーのリスト」の舞台として知られるなど、戦争の影が濃い都市だが、激戦地となった同国の中では奇跡的に戦禍を被らなかった。姫路城も、姫路市街地が焼け野原になった1945年7月の姫路空襲で、B29爆撃機による焼夷(しょうい)弾攻撃を辛くも免れた。

 姉妹城提携は、2020年にポーランド側から姫路市に打診があった。23年11月に清元秀泰姫路市長がクラクフを訪問して事前協議。現在は観光や文化交流、文化財保護の面などで協力する基本方針の内容を確認している。

 24年内には同国関係者が姫路城を訪問し、協定書にサインする予定。姫路城の姉妹城提携は、フランス・シャンティイ城、英ウェールズ・コンウィ城に続いて3件目となる。

 清元市長は「ともに戦禍を免れた『平和の城』として、相互交流を深めたい」と話している。

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