警察官の採用試験、下がり続ける競争率 兵庫県警は「業務が過酷」? イメージ打開へ職場環境を改善

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 兵庫県警が年3回実施している警察官採用試験で、競争倍率の落ち込みが目立っている。10年前の2013年度は7.2倍だったが、23年度は2回目終了時点で3.2倍にまで下落した。志願者数の減少傾向は全国の都道府県警で課題となっており、有望な人材の奪い合いが激化。採用担当者は「インターネットなどを活用した『攻めのPR』で兵庫県警の魅力を訴えたい」としている。

 県警警務課によると、倍率のピークは1万2884人が受けた03年度で、16.1倍だった。その後は受験者数の減少とともに下落傾向が続き、20年度に初めて5倍を切った。22、23年度も3倍台で推移している。

 県警は、年2回だった試験を17年度から3回に増やして対応。21年度は近隣の府県警と日程をずらし、受験者数は回復したものの、合格者の辞退率が前年度比14ポイント増の53%に上昇しており、効果があったとは判断しづらいという。

 志願者数の減少は少子化の影響が大きいとされる。公務員としての安定が利点とされる一方で、「業務が過酷」「休みが取りにくい」「制約が多い」などのイメージが根強く、就職先の選択肢から外されやすくなっているとみられる。

 兵庫特有の事情もあり、県警幹部の一人は「県域が広く、転勤による引っ越しや単身赴任の可能性があるため、人材が大阪府警や消防士などに流れやすい」と指摘する。実際に、22年度の辞退者のうち、4人に3人近くが「他の警察や消防に合格した」と理由を挙げている。

 このような状況を踏まえ、県警は休暇取得を促進するワークライフバランスへの配慮など職場環境の改善策で打開を図る。また、他の都道府県警との差別化に向け、受け皿を広げる受験区分を検討する。PR活動も強化する方針で、印象に残りやすいポスター制作などに取り組むという。(小川 晶)

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