〈支え合ってともに 1.1大震災〉迫る寒さと感染症 奥能登の避難所、不安

避難所でストーブにあたる被災者=6日午後4時50分、珠洲市野々江町の飯田高校

  ●穴水で6人コロナ

 奥能登の被災地に設けられた避難所に感染症と寒さが迫っている。6日、穴水町ののとふれあい文化センターでは6人の新型コロナ感染が判明。断水続きで衛生環境が悪化する中、消毒液や手袋が足りない施設もあり、感染はさらに広がる恐れがある。7日は厳しい冷え込みと降雪が予想されるが、中には暖房器具のない避難所も。「毛布1枚で極寒を乗り切れるのか」。被災者の不安は尽きない。

 穴水町ののとふれあい文化センターでは6日午前、町内のグループホームを利用する高齢者1人と職員2人の感染が最初に確認された。これを受けて町は同じ避難所で過ごす約110人の半数程度にPCR検査を実施。新たに3人が陽性と分かった。残る避難者は7日以降に検査する。

 同センターで過ごす女性(82)=川島=は「食事をするとき以外は手の消毒とマスクをしている。自宅は怖いので避難所にいるが、コロナがまん延したらどこに行けばいいのか」と困惑した様子で話した。

  ●狭い館内、あきらめ

 感染防止用の消毒液などが足りず、十分な対策を講じることができない避難所も目立つ。輪島市輪島崎町の港公民館では、狭い館内に仕切りもなく大勢が密集している。館長の萬正和彦さん(72)は「対策といっても、せいぜいマスク着用を促すくらいしかできない」とし、避難住民の男性は「1人がコロナになったら、みんな道連れや」とあきらめ顔を浮かべた。

 250人が身を寄せる同市杉平町の輪島消防署は、指定避難所ではないため物資が不足気味だ。市職員は断水もあって衛生面が懸念されるとし「トイレの掃除ができないことに加え、消毒液やナイロンの手袋もない」と明かした。

 市によると、6日午後3時時点で、市内には市指定を含めて165カ所に避難所が開設されている。指定されていない避難所の多くは、1日の地震発生後、津波から逃れようとする住民らが自主的に駆け込んだ施設で、消防署のほか、個人宅、民間事業者の工場などもある。いずれも避難所としての使用を想定していない建物だが、市は臨時措置として避難所と見なしている。

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