県内クマ目撃、冬も相次ぐ 暖冬で冬眠せず、親とはぐれ…?

暖冬でクマの目撃が県内で相次いでいる

 県内で今冬、クマの目撃情報が相次いでいる。本来は冬眠の時期だが、暖冬の影響で冬眠せず、親グマとはぐれた子グマがさまようなどのケースが考えられるという。専門家は、餌を探して生息域から人里へと移動する可能性があるとし、餌になる果実を屋外に置かないなどの対策が必要だと指摘する。

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 県警地域課のまとめでは、2023年の目撃件数は先月24日現在で763件。このうち、12月の件数は1~24日で14件。例年、12月は数件だが、過去5年間で最多の20年と同じ件数となった。

 気象庁によると、昨年12月の山形の平均気温は3.7度と前年同期より1度以上高い。積雪量は今月6日午後5時現在、大蔵村肘折26センチ、西川町大井沢18センチで山形や新庄、米沢などはゼロ。1年前の同じ時期は肘折236センチ、大井沢198センチ、山形10センチ、新庄98センチ、米沢71センチだった。

 暖冬の今冬は、クマの活動が目立つ。遊佐町で先月4日に木に登って柿の実を食べる1頭が目撃されたほか、飯豊町でも同24日に柿の木に登っている子グマ1頭が見つかった。今月5日には鶴岡市の国道7号を横切る1頭が目撃されている。

 日本クマネットワーク東北地区代表委員で、生態を研究している小野寺レイナ鶴岡市鳥獣被害対策推進員によると、冬季に目撃される子グマは親とはぐれた可能性が高いという。子グマは親と一緒に行動することで餌の採り方や冬眠の仕方を習うため、やり方が分からずにさまようと推測されている。成獣でも気温が高く動ける状態であれば、餌を探し回る個体もいるという。

 子グマが民家近くで餌を食べると、住宅地に近い場所での行動が習慣化するとの懸念もある。小野寺さんは、実が付いたままの柿の木などを放置せず、下草刈りを徹底することが重要だと説明。「できることから対策を進めてほしい」としている。

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