●住宅、さらなる崩壊懸念
能登半島地震から1週間を迎えた8日、最大震度5強の揺れに襲われた氷見市では断続的に雪が降った。寒さの厳しさが増し、避難所に身を寄せる市民からは「朝の冷え込みがつらい」との声が漏れた。家屋の倒壊・損壊が激しい姿地区では「雪の重みでさらに崩れていないだろうか」と自宅の確認に訪れる避難者も。被災者は見通せない先行きに苦悩を深めている。
石川県境に近い姿地区は午前10時ごろ、雪がぱらついていた。「何もかもわやくそや」。桑原桂子さん(88)は、雪の積もった全壊の母屋前で大きなため息をついた。鉄筋コンクリート造の増築部分は形を残すが、断水で台所も風呂も使えない。自宅は大工だった夫が生前に建てた。「下手な父ちゃんが住民に協力してもらってできた家なんよ」と寂しさを募らせた。
桑原さんは自主避難所となっている姿集落農事集会所に、長男とともに発災時の1日から身を寄せている。外出していて無事だったが、生活用品や貴重品は全てつぶれた家の中。この1週間、着替えることができず、風呂にも入れていない。
●住民が支え合い
集会所では避難者や集落の女性が交代で料理を作るなど住民が支え合っている。「感謝でみんなに気の毒な」と桑原さん。今後は市が検討を進める避難住宅への入居を考えているとし「自宅はつぶすしかない。周りに迷惑がかかり、早くしたいが、お金がなくどうしようか」と途方に暮れた。
姿自治会によると、集会所には8日午前時点で、11世帯18人が避難。自宅が半壊した上田章枝さん(62)は「きょうまで毛布は2、3人で1枚だった。寒さと断水がきつい」と厳しい表情。飲料水の支援はあるが、お湯を自由に使えず、冷水での洗い物に苦しんでおり、生活再建のめども立っていないという。
●高齢者が7割
指定避難所の市ふれあいスポーツセンターには8日午前時点で63人が生活する。中央町の女性(81)は降雪による寒さに悩み「重ね着してコートも着て、毛布と布団をかけて寝ても背中がゾクゾクする」と漏らした。長女(61)は市の避難住宅を待ちきれず、仮住まいとするアパートを契約した。
市によると、センターに避難する7割が高齢者で、保健師2人が常駐しているが手一杯の状況。高齢者ケアなど福祉面に課題があり、市が対策を考えている。
●雪少なく復旧急ぐ 高岡・伏木
高岡市伏木地区では、住民や業者が復旧に追われた。心配された雪は少なく、住民らは「積もる前に進めたい」と黙々と作業に励んだ。
金物屋を営む鍛治勇さん(79)=伏木錦町=は「除雪も加わると負担が増える。このまま積もらないでほしい」と話した。
伏木古国府中部自治会では、避難者がいることから回覧板が使えず、麦谷久雄会長(73)が住民宅を訪ねてごみの出し方などを伝えた。道路の液状化で融雪装置が埋まっているとし、「雪が積もれば動けない可能性もあった。これから心配だ」と語った。