【早出し】衛生環境、改善へ奔走 能登地震、石川・七尾で本県の森野さんら救援活動

下水道が使えなくなった恵寿総合病院で救援活動を展開する県立河北病院長の森野一真さん(左から2人目)=8日午後0時28分、石川県七尾市

 能登半島地震で激震と津波による甚大な被害が発生し、3万人近くが避難生活を送る石川県は8日、雪に覆われ、日中も冷え込んだ。県立河北病院長で認定NPO法人「災害医療ACT(アクト)研究所」理事長の森野一真さん(65)ら本県医療関係者が石川県七尾市を拠点に、救援活動を展開している。被災地は厳しい寒さに加え、上下水道が使えず、避難所などでの衛生環境の悪化が懸念されている。

 森野さんは、県立救命救急センター長を務め、救急医療だけではなく、東日本大震災や熊本地震のほか、国内外の災害現場で救援活動を行うなど災害医療の第一線に立ってきた。災害医療ACT研究所は森野さんらが東日本大震災の経験を踏まえ、教訓を継承するため、震災翌年の2012年に設立した。

 平時は迅速な災害対応に向けた研修などに取り組んでいる。災害が発生するとメンバーは被災地に入り、救援活動を展開する。今回の震災は、甚大な被害に加え、複数の通行ルートが確保しにくい半島が震源域という地理的な要因が重なる。7日に能登半島に入った森野さんは「被害の全体像がまだ把握し切れていない。復旧や支援、救援の進捗(しんちょく)状況は熊本地震よりも悪い」と指摘する。

 七尾市は電力の供給がほぼ滞っていないものの、能登半島地震の被災地では水道やトイレが使えない状況になっている。森野さんは同研究所のメンバーとともに、同市の恵寿総合病院など医療機関や避難所に簡易トイレを供給している。「いち早く、衛生環境を整えなければならない」と現場を回っている。

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