〈1.1大震災〉看板ネコ「まつり」どこへ? 伏木の美容院、避難中不明に

ポスターを貼り出す伏江さん=高岡市伏木湊町

  ●伏江さん、捜索続ける

 能登半島地震で被災した高岡市伏木湊町の美容院で、常連客や近所の子どもたちから愛されていた「看板ネコ」が行方不明となり、地域住民が行方を案じている。伏木曳山祭の会場で拾ったことにちなんで「まつり」と名付けられた愛猫は地震から10日たっても姿を見せる気配はなく、家族は「早く見つかってほしい」と捜索を続ける。

  ●曳山祭ちなみ命名、懐っこいが怖がり

 伏木湊町で「ふしえ美容室」を営む伏江由起子さん(68)方からいなくなった「まつり」は、右目が黄色、左目が青色の瞳をもった8歳で、白色の体に耳と尻尾だけが灰色がかっている。人懐っこい性格だが、野良猫同士のけんかにおびえるほど怖がりだという。

 1日の地震発生直後、伏江さんは夫の勲さん(74)、長男(29)と長女(25)の家族4人で伏木中に避難した。ネコが避難できるよう店舗と住宅の扉を開けて逃げ、同日夜に長男が自宅に戻ると、洗濯機の中で震えている「まつり」を見つけた。キャリーバッグに入れようとしたが、バッグの扉が開いて「まつり」は逃げ出した。

 伏江さん一家は2日から、ネコの活動が活発になる夜間の午後10~12時に交代で近所を巡回。迷いネコのポスターを作製し、伏木地区の各所に貼り出したほか、SNS(交流サイト)でも情報を発信して協力を呼び掛けている。

 伏江さんによると、2日昼に自宅周辺で鳴き声を聞いたのを最後に、音沙汰がない状態が続く。先輩ネコのオスの「風太」も一日に何度も玄関に座り込み、帰りを待ちわびて鳴き声を上げている。

 「まつり」は、美容院の人気ネコで、客がおやつを持参したり、近所の子どもが遊びに来たりと地域からかわいがられていた。

 伏江さん方は地震の影響で、住宅の基礎部分にひびが入り、壁がはがれ落ちるなどの被害に遭った。2階の居住スペースは住めない状態のため、家族で引っ越しを検討中だが、「『まつり』が帰ってこないことには引っ越せない。早く元気な姿を見せてほしい」と願った。

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