「半島振興法」来年期限切れ 長崎県が延長・拡充要望へ 能登地震の実態踏まえ

 10年間の時限立法「半島振興法」が来年3月末で期限切れになるのを前に、長崎県は延長・拡充に向けた動きを本格化させる。今年に入って、同法に基づく「半島振興対策実施地域」に指定されている石川県能登半島全域が地震で被災し、道路寸断などで避難や救助に影響が出ている。こうした実態も踏まえ、本県は「三方を海に囲まれた半島では災害時も考えた基盤整備が必要。単なる延長ではなく、充実した内容への改正を政府に求めたい」としている。
 県地域づくり推進課によると、半島地域は本県の面積の約3分の1、人口の約2割を占める(2020年国勢調査時点)。ほとんどの町が過疎地域と重なっており、人口は15年比で6.9%減少。県全体の4.7%と比べ高い減少率となっている。同課は「半島地域は農水産物の供給地にもなっている。地形的に不利な条件があり、産業振興などの面からも対策が必要」と強調する。
 同法は1985年制定、これまで3回延長された。能登を含む全国23地域が同実施地域に指定され、このうち本県は東松浦、北松浦、島原、西彼杵の4地域(9市1町)が該当する。国税や地方税の優遇措置があるほか、道路など社会基盤整備への支援や、魅力発信事業に対する補助を受けられる。
 これまで本県では、県と9市1町でつくる半島地域魅力発見委員会が、地元の食を集めたフェア開催や県外での商談会参加などに取り組んできた。本年度はPR動画制作も予定している。
 今後は交通網整備や産業振興など各市町の要望を聞き取り、県議会での審議を経て意見書を策定。半島地域を抱える各県とも足並みをそろえ、政府に要望する。同課は「地域の実情に即した改正を求めたい」としている。

© 株式会社長崎新聞社