能登から金沢へ 引っ越し続々 賃貸住宅申し込み急増 祖父母呼び寄せ 問い合わせ1日1500件

金沢市内の不動産仲介業者の窓口では、被災者の相談が増えている=金沢市内

 能登半島地震を受け、奥能登から県都・金沢市への引っ越しを決意する人が増えている。金沢の不動産会社では被災者の賃貸住宅への申し込みが急増。高齢の祖父母を金沢に呼び寄せようと、息子や娘世代による代理契約が目立つ。不動産仲介業者では物件のオーナーに働き掛け、家賃を無料にする動きも出てきた。

 「先週末から被災された家族の問い合わせが急増した。被災者が安心できるよう、できる限り早く住居を提供したい」と話すのは、アーバンホームの担当者。地震後は、能登地区からの避難者を中心に1日30組ほどの家族が来店し、約100件の成約があった。

 被災者への支援として、仲介手数料や一定期間の家賃を無料とするほか、生活用品の購入支援策も打ち出した。地震直後から、能登に比較的近いかほく市や津幡町などへの一時的な移住が目立っていたが、家族向けとなる2LDK以上の物件が少なくなり、同社は今後、金沢市以南地域に対象エリアが拡大するとみている。

 いったん契約を結んだ後、罹災証明書の発行を経て、行政の支援を受けられる「賃貸型応急住宅(みなし仮設住宅)」として再契約手続きを結ぶことができる。

 金沢市内の別の不動産会社では、1月6~9日の来店者のうち、約7割が被災者だった。電話を含め約1500件の問い合わせがあるといい、担当者は「1月は新生活の部屋探しで忙しい時期だが、今年は例年以上に問い合わせや来店が多い」と話した。

 石川県宅地建物取引業協会は会員の不動産会社に呼び掛け、賃貸型応急住宅として提供可能な物件を収集したところ、12日時点でアパートやマンションの部屋、一軒家など約1千戸に上った。1千戸のうち約200戸は客に案内し、このうち100戸は成約済みとなった。

 被害が大きかった富山県でも同様の傾向がみられる。朝日不動産(富山市)には12日現在、高岡市を中心に富山市や魚津市の被災者から計42件の相談があった。このうち4件が輪島市と珠洲市という。

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