〈1.1大震災〉被災の高3「やるしかない」 共通テスト 県内5229人臨む

試験会場に向かう受験生=13日午前7時40分、金大角間キャンパス

 大学入学共通テストの初日となった13日、能登半島地震で被害を受けた受験生は、互いに励まし合って本番に臨んだ。日常生活が一変し、不自由な環境でも勉強を続けてきた受験生は「ここまできたらやるしかない」と声をそろえ、周囲の支えを励みに「第一関門」に挑んだ。

 飯田高や輪島高、七尾高など能登地区の高校は前日から金沢市内のホテルに宿泊し、テストに備えた。試験会場の金大角間キャンパス前では教員が一人一人にエールを送り、生徒は何度もうなずいて健闘を誓った。

 七尾高3年の宮崎心愛(ここな)さん(18)は自宅が半壊し、金沢市の親戚宅に避難している。「最後の追い込みの時間が減ってしまったが、やることはやった」と足早に会場に向かった。

 七尾高3年の定仙直樹さん(18)の自宅は倒壊こそ免れたものの、今も断水が続く。しばらくは勉強に集中できなかったが、「クラスメートには家屋が全壊した人もおり、自分はまだ恵まれている」と気持ちを切り替えた。試験直前まで両親から励ましのLINE(ライン)が届き、「目標点数を取って家族を安心させたい」と意気込んだ。

 羽咋市に住む泉丘高3年の越智充さん(17)は地震でJR七尾線が運休し、通学の足を失った。連日、家族が車で送迎し、試験前日は金大角間キャンパスに近い南砺市内の祖父宅に泊まり込んで試験に備えた。「家族の期待を感じた。持てる限りの力を出し切りたい」と表情を引き締めた。

  ●27、28日に追試験

 共通テストは全国668会場で行われた。出願者は昨年より2万667人少ない49万1914人で、県内で5229人が受験した。能登半島地震の被災地では受験票を紛失した受験生に「仮受験票」を発行。被災した受験生は27、28日の追試験に回ることも可能で、大学入試センターは石川県内で本試験を予定していた受験生のために、特例として金大角間キャンパスを追試験会場に追加した。

 13日は地理歴史・公民、国語、外国語の試験が行われる。14日は理科と数学を実施する。来年1月の共通テストからは新学習指導要領に対応して教科・科目が再編されるため、6教科30科目で実施する最後の試験となる。

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