能登半島地震の津波調査“海底地すべり”が起きた可能性も 南海トラフ地震では「いきなり大きな津波襲来のリスク」【わたしの防災】

能登半島地震では、大きな津波が沿岸部を襲い、住宅や車が流されるなどしました。専門家は津波を大きくする「海底地すべり」が起きた可能性も指摘していて「南海トラフ地震」でも注意が必要だとしています。

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1月7日、石川県珠洲市三崎町で津波のメカニズムに詳しい中央大学の有川教授が調査を行いました。

<中央大学 有川太郎教授>
「草がこの辺りにあるのと、同じようにあそこにも絡んでいるので、波で上にあがって引いていくときに絡まっている。窓が割れていることなど総合的に判断すると、この位の高さ」

有川教授によりますと、壁に残された痕跡や海藻が引っかかっている位置などから、遡上した高さとしては最大で4.5メートルまで海水が押し寄せたということです。

防災無線で避難呼びかけ「何も持たずに、ただ高台へ逃げた」

<住民>
「防災無線で津波が来るから避難しろ、避難しろと言ったので、何も持たずに、ただ高台へ逃げた」
<有川教授>
「逃げるときには津波は来ていませんでしたか?」
<住民>
「だーと潮がひいて」
<有川教授>
「引いていくのが見えたんですね」

<中央大学 有川太郎教授>
「高台から(波が)引いていくところを見ているので(到達まで)十分な時間、10分から20分はあったと推測します。自動車や自動販売機など、この辺が全部流されているので、相当な勢いをもって流れてきたものと思う」

防潮堤がなく津波が住宅を直接襲う

続いて向かった鵜飼(うかい)地区には防潮堤がなく、津波が住宅を直撃しました。

<中央大学 有川太郎教授>
「地盤がだいぶゆるんでいるのと電信柱も全部倒れているので、単純に地震動も強かったが、マンホールも浮いているので液状化があった。場合によっては、海底地すべりが起こった可能性がある」

「海底地すべり」とは…15年前には静岡・駿河湾で発生

海底地すべりとは、地震の揺れで海の中の急斜面が崩れる現象です。その衝撃で盛り上がった海面が津波となって押し寄せます。

2009年8月に発生した「駿河湾の地震」。東名高速道路でのり面が崩落するなど、静岡県内の各地で被害がありました。最大震度は6弱。

この地震の約4か月後に撮影された駿河湾の海底の映像からは、焼津の沖合いで地すべりの痕跡が確認されています。焼津や御前崎では、実際に津波が観測されました。

「海底地すべり」津波発生リスク 南海トラフ地震でも

<中央大学 有川太郎教授>
Q.海底地すべりによる津波発生リスクは南海トラフ側にもある?
「海底地すべりがあるとすると陸地に近いところで起こる可能性があり、いきなり大きな津波が来ることも考えられ、危険性を今後きちんと調べていきたい」

能登半島地震の津波を調査した中央大学の有川教授は今後、数値計算をして、津波を引き起こした断層のずれの量などを検証するということです。

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