金大病院で投与開始 アルツハイマー新薬「レカネマブ」 

レカネマブを投与した患者に声を掛ける小野教授=金大附属病院

  ●北陸初、外来も開設

 金大附属病院で17日、製薬大手エーザイなどが開発したアルツハイマー病の新薬「レカネマブ」を使った治療が始まった。北陸三県では初の症例で、石川県内の80代女性が投与を受けた。専門外来は2月いっぱい予約で埋まっており、脳神経内科の小野賢二郎教授は「やっとこの日が来たという気持ちで患者の期待も大きい。慎重に治療を進めたい」と話した。

 女性は軽度認知障害と診断され、16日に入院した。小野教授はレカネマブを点滴で投与され、ベッドに横たわる女性に「大丈夫ですか」と声を掛け、血圧や脈拍に変化はないか、発熱や頭痛などのアレルギー反応がないか経過を観察した。女性は18日に退院する予定で、以降は2週間おきに通院して点滴を受ける。

 レカネマブは、脳に蓄積して神経に悪影響を及ぼすとされるタンパク質「アミロイドベータ」を取り除き、進行を遅らせる。アミロイドベータに関する研究を20年以上続けてきた小野教授は「原因に直接作用する薬であり、認知症治療の大きな一歩になる」と強調する。

 昨年12月の保険適用を受け、金大附属病院脳神経内科は今月5日に「レカネマブ外来」を開設した。小野教授によると、石川県内だけでなく富山や福井からも問い合わせが相次いでいる。

  ●軽度の患者対象

 一方、レカネマブを投与できるのは、軽度の認知症や前段階の軽度認知障害の患者に限られる。小野教授は症状の軽い早期に発見することが重要だとし「県内の医療機関と力を合わせ、十分な検査や治療を受けられる体制をつくりたい」と力を込めた。

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