ドローン使って医薬品を配送 別府市薬剤師会などが全国初の実証実験【大分県】

薬を積み、河野調剤薬局鉄輪店に到着するドローン=別府市北鉄輪
ドローンで届けられた、薬の入った箱を開けようとする河野哲治代表(左)

 【別府】ドローンを活用した医薬品の配送モデルの確立を目指し、別府市薬剤師会などは17日、市内で実証実験をした。少量の医薬品を同薬剤師会が市内の調剤薬局へ送る「小分け事業」での活用を見据えたもので、県によると全国で初の取り組み。同薬剤師会は「ドローンの規制や価格などの面で課題も多いが、将来的な実用化に向けてノウハウを積み上げたい」と話している。

 医薬品をドローンで配送する県のモデル事業。薬剤師と薬局をつなぐサービスを手がける「薬けん」(同市)が受託した。

 17日は内竈の同薬剤師会館から、北鉄輪の河野調剤薬局鉄輪店へ配送。飛行時の安全性、薬の受け渡し方法を確かめた。薬はセキュリティー機能を持たせた箱に入れ、約1.5キロの距離を7分ほどで運んだ。同薬局の河野哲治代表(64)がスマートフォンのアプリを使って箱のロックを解除し、薬を受け取った。

 同薬剤師会によると、市内の薬局は薬剤師会から薬を調達する場合がある。1日2回の定期便で届けているが、急ぐ場合はタクシーを利用する。

 配送スタッフは慢性的に不足し、タクシーの利用もコスト面で負担になっていた。近年はタクシーがつかまりにくい状況にも悩まされていた。

 災害時に交通網が寸断された場合の活用も想定している。2023年度中に同薬剤師会などの3人がドローンの操縦に必要な国家資格を取得する予定。

 ただ、実際の運用に向けては課題も多い。県によると、別府市街地の大部分はドローンの飛行が規制されている。温泉地のため、露天風呂への配慮も必要になる。気象の影響も受ける。

 同薬剤師会の竹田貴登(たかのり)事務長(51)は「ドローンの価格などを考えると社会に根付くには時間がかかるのでは」と述べつつ「災害時を見据え、複数の輸送手段を用意しておくことは大切。ドローン活用の幅が広がっていく第一歩になれれば」と力を込めた。

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