〈1.1大震災〉奥能登初、珠洲の銭湯再開 「いい湯やった」無料開放に住民が列

気持ちよさそうに銭湯を後にする利用者=19日午後3時半、珠洲市野々江町

 珠洲市全域で断水が続く中、同市野々江町の公衆浴場「海浜あみだ湯」が19日再開し、オープンの午後3時を前に住民の列ができた。震災後初めて湯船に入った被災者もおり、利用者からは「いい湯やった」と喜ぶ声が聞かれた。県公衆浴場業生活衛生同業組合によると、奥能登で公衆浴場の再開は初めて。

 地震の影響でパイプや配水管が破損し、被災直後は地下水をくみ上げられなかったものの、5日からの工事で復旧した。当面は火、金、日曜日に営業する。午後3~6時までは指定された地区の住民対象、同6~9時は全市民対象でいずれも無料で利用できる。

 上戸町北方の浜口茂さん(75)は「湯船につかるのなんて正月以来で最高の気分や」と上機嫌だった。正院町岡田の鳥毛義正さん(82)は「震災直後の大変な時期に無料で開放してくれてありがたい」と感謝した。

 避難所の宝立小中の風呂を利用していた野々江町の山口愛子さん(71)は「時間を気にせずお風呂に入れて大満足」と喜んだ。

 あみだ湯を運営管理する新谷健太さん(32)は「利用者の笑顔を見るとこちらもうれしくなる。水道の復旧が見えない中、市民の生活を支えたい」と話した。

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