内灘の波打つ道、除雪阻む 除雪車入れず、融雪装置損壊 〈1.1大震災〉

地震による損傷が激しく、除雪が十分にされていない県道=24日午後3時40分、内灘町西荒屋

  ●住民「怖くて運転できず」
  ●輪島、珠洲は水出さず 復旧妨げに

 能登半島地震の被災地は24日、断続的に雪が降り、液状化が深刻な内灘町では波打った道路の一部に除雪車が入れず、雪をどかしきれなかった。通行止めの町道も多く、融雪装置は至る所で壊れ、使用できないまま。町民からは「道が傾いている上、雪が積もった状態では怖くて運転できない」との声が上がった。被害が甚大だった輪島、珠洲でも融雪装置は作動しておらず、はかどらない除雪は復旧作業の妨げにもなっている。

 「朝起きると、自宅前の融雪装置から水が出ていなくてびっくりした」。内灘町西荒屋の上野雅子さん(62)はこう話し、「ただでさえ走りづらいのに雪が降るとハンドルは握れない」と不安がった。

 自宅が約30センチ沈下したという西荒屋の前河政秀さん(55)は「凍結していそうな箇所は避け、新雪があるところを走るようにしている」と語った。

 23日から降った雪は内灘町では10センチほど積もった。地震によって特に被害を受けたのは西荒屋、宮坂、室地区の町の北部で、液状化で道路の隆起や陥没が激しく、住宅の損壊も多い。このため、石川県は今回の積雪で、町北部の県道へ除雪車を出動させた。

 ただ県道路整備課の担当者は「平らなところは除雪できたが、道路が波打ち、雪を十分にどかしきれないため断念したところもある」と話した。

 内灘町によると、町内に設置された融雪装置の約半数は、地震による損壊や不具合で使用できない。融雪装置や道路の復旧はいつになるか分からず、雪に対する備えが万全とはいえない状況が続いている。

 内灘町はハマナス1丁目の町道などに「地震の影響により消雪装置から水が出ません」と記した看板を設置し、運転手に注意を呼び掛けた。融雪装置が作動しない箇所には路面凍結を防ぐため、融雪剤の塩化カリウムをまいた。

 積雪のため通行に危険があるとして、避難所となっている町展望温泉「ほのぼの湯」と河北潟干拓地を結ぶ町道の坂道が通行止めになった。

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