キャンプ場入札1人で担当 立山町官製談合で宮越容疑者

送検される森容疑者=24日午後0時30分、富山中央署

 立山町発注のキャンプ場整備設計業務に関する情報を業者に漏らしたなどとして、官製談合防止法違反と公競売入札妨害の疑いで逮捕された町係長宮越貴浩容疑者(50)が、昨年行われたこの施設の入札業務3件に関わり、いずれも逮捕された役員の勤める設計会社が落札していたことが分かった。入札業務のほぼ全てを宮越容疑者が担当しており、業者との癒着の要因となった可能性がある。

 キャンプ場のある複合施設「グリーンパーク吉峰」の再整備を巡っては今回の入札のほか、2023年に「アウトドア施設整備事前調査業務」、「コテージ再整備実施設計及び工事監理業務」も、逮捕された役員の勤務する押田建築設計事務所(富山市)が落札。事務所は今年度、同パーク案件を含め、学校や公民館の照明設備のLED化など9件の町発注業務を落札している。

 宮越容疑者はキャンプ場整備の実施設計などに関する指名競争入札時に提示された業務委託仕様書を1人で作成。町によると、町の建築士は宮越容疑者を合わせて計4人で、それぞれが個別に業務を分担し、共同で当たることはなかった。

 建築士の1人は「仕事量が多く、工期に間に合わせないといけないという思いがあったのではないか」と推し量った。同パークの再整備は別の建築士が担当する案も浮上したが、宮越容疑者が自ら、全て担当すると申し出ていた。

 町幹部の1人は「チェック体制が甘かったという認識がある」と話した。

 逮捕されたのは宮越容疑者と押田建築設計事務所常務の森一夫容疑者(75)。2人の容疑は共謀の上、町が昨年4月20日に指名競争入札で発注した同パークの新オートキャンプ場の実施設計と工事監理業務に関し、指名通知前に宮越容疑者が秘密事項に当たる仕様書の案文を森容疑者に見せ、設計業務に着手させた疑い。

  ●両容疑者を送検

 県警は24日、官製談合防止法違反と公競売入札妨害の疑いで、宮越容疑者と森容疑者をそれぞれ富山地検に送致した。

  ●他自治体は複数人

 立山町と同規模の自治体である上市町では、建築士1人で入札業務を担当することはない。3人いる建築士がチームを組み設計に関する入札の業務を行う。担当者は「1人に任せることはないので、事前に情報が漏れることもない」と話した。富山市も建築士が複数おり、相互にチェックできる体制としている。

© 株式会社北國新聞社