3Dゲルプリンター商品化へ技術力結集 山形大、置賜5社が参加

3Dゲルプリンターの試作に向け、話し合うものづくり企業と山形大工学部の関係者=米沢市・県工業技術センター置賜試験場

 置賜地域に拠点を置くものづくり企業5社と山形大工学部はそれぞれが持つ金属加工や機械の設計製造などのノウハウ、技術力を結集し、3Dゲルプリンターの商品化に乗り出す。参加企業は3Dプリンターとは無縁だが、高い技術を持っており、同学部が“束ね役”となり、地域ブランドの創出を目指す。

 3Dゲルプリンターの研究、開発で世界をリードしている山形大工学部が安価で付加価値が高い製品の開発に向け、地元企業に協力を求めた。プロジェクトに参加するのは、おきたまものづくりネットワーク協議会に加盟する秀機(高畠町)、島津鈑金製作所(同)、ミユキ精機(米沢市)、岡村工機(同)、今春、米沢市に研究開発の拠点を設ける予定の愛和ライト(愛知県)の5社。

 24日に米沢市の県工業技術センター置賜試験場でプロジェクトの初会合を開いた。試作機は一般に公開されている3Dプリンターの設計図を活用し、ゲル材料の出力部などゲルプリンターに必要な装置を加えていく。既存の設計図を使うことで低コスト化を目指す。

 本年度中に試作機を完成させる計画で、工学部をはじめ同大研究室への販売から始める。将来的には、ゲルプリンターの一種で、人体の細胞の印刷もできる3Dバイオプリンターの生産を目指す。同大の古川英光教授は「われわれが持っている技術を地元の企業に移転し、一緒に実用化を目指したい」と話す。

 生産装置の設計製造などを手がける秀機の青野秀夫会長は「置賜の企業はどこにも負けない技術力を持っている。産学官で取り組み、最先端の3Dゲルプリンターの開発を目指したい」と意気込んでいる。

3Dゲルプリンター 印刷技術を用い、固体と液体の中間の柔らかい物質・ゲル素材をさまざまな形態に加工する装置。医療や食品の分野で活用拡大が期待されている。

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