生ごみ肥料に野菜栽培、食材として活用 鶴岡・湯野浜温泉でプロジェクト始動

肥料を活用して生産した大根とカブ、紅ズワイガニを使った煮物

 鶴岡市の湯野浜温泉で、食べ残しなどを肥料に変える循環型サイクルと、地域の食文化を楽しむ「ガストロノミーツーリズム」を組み合わせたプロジェクトが始動した。旅館やホテルで出る生ごみを肥料に変え、野菜を栽培。この野菜を食材として使う地産地消の仕組み。地元のまちづくり会社「湯野浜100年」や山形大、農家などが連動し来年度の運用開始を目指す。

 観光振興に取り組むDEGAM鶴岡ツーリズムビューロー(同市)が、観光庁の補助事業の採択を受け、湯野浜100年を中心にプロジェクトの検討に入った。プロジェクトは「ゆのはまわ~る」と命名し、目指す形は「資源循環の温泉街」。2022年度に温泉組合で集計したごみの量は計176トンで、処理費の負担は大きく、課題克服を兼ねる。

 食品残渣(ざんさ)の処理は同大農学部の佐藤智准教授と連携した。食べ残しを餌にするアメリカミズアブを介し、肥料に変える。湯野浜の農家が肥料を活用し野菜を栽培する。こうして作る「湯野浜野菜」のブランド化を目指し、食材として温泉街の食事で提供される。

 23日には湯野浜温泉「亀や」で研修会が開かれ、温泉関係者ら約30人が出席。佐藤准教授や湯野浜100年の阿部公和取締役らが、資源循環の仕組みを説明した。続いて東京会館(東京)で日本料理顧問を務める鈴木直登さんが講師を務めた。プロジェクトと同じ形で生産されたカブや大根を用い、地元産の紅ズワイガニなどと組み合わせた煮物を提供。調理法や保存法をアドバイスした。湯野浜野菜を使ったおいしい料理を提供し、ガストロノミーツーリズムにつなげる。

 プロジェクトでは湯野浜野菜を活用した各種料理のほか、温泉街の食事に共通の一品を作る構想もある。阿部取締役は「循環サイクルでは全てが重要な役割を担う。宿それぞれが野菜を料理に仕立て、収益化とともに環境への優しさも実現させたい」と語った。

循環型のプロジェクトについて理解を深めた研修会=鶴岡市

© 株式会社山形新聞社