「まんで助かる」災害ボランティア始動 七尾、志賀、穴水で汗 畳や家財運び出し

スコップで大量の泥を片付けるボランティア=27日午前11時15分、七尾市郡町

 能登半島地震で被害を受けた七尾と志賀、穴水の3市町で27日、災害ボランティアの活動が始まった。初日は75人ががれきなどの片付けや家財の運搬を手伝い、人手が足りず途方に暮れていた住民は「本当にありがたい」と感謝した。石川県は輪島市や珠洲市などにも要望を調査しながら受け入れを進める方針で、日常を取り戻す動きを本格化させる。

 県によると、27日は志賀町で43人、七尾市で17人、穴水町で15人を受け入れた。七尾市では市中心部の御祓地区、袖ケ江地区の民家6軒で作業を進め、郡町の木造2階建て家屋を訪れた6人は、大型家電や水にぬれた畳、液状化でたまった泥などを石崎町にある災害ごみ仮置き場に運んだ。

 支援を受けた自営業川村兼一さん(55)は「畳1枚でも1人で運べない。本当に助かる」と安あん堵どの表情を浮かべた。ボランティアに参加した東京の会社員加藤優希さん(29)は「ごみの中には思い出の品もあり胸が痛い。一日も早く日常が取り戻せるように活動を続けたい」と語った。

 穴水町では、中心部の住宅で災害ごみを運び出した。住宅裏に積み上げられた家財や記念品などから雪を払い、埋め立てごみや可燃ごみなどに仕分けた。住民の橋本千恵子さん(80)は「家族だけでは、どうもならんぐらい、わやくちゃやった。まんで助かる」と感謝した。

 志賀町里本江の梅田信孝さん(66)方には6人が訪れ、家の中から倒れたタンスや食器棚、壊れた洗濯機などを運び出し、2台の軽トラックに積み込んだ。

 活動前には県庁で出発式が行われ、馳浩知事が「石川県ボランティア」の目印付きの青いビブスを着用した参加者を激励した。ボランティアは当面、金沢市からバスで移動し、日帰りで作業を行う。

 県はこれまで、道路の復旧が進まず、自治体側の受け入れ態勢も整っていないとして、ボランティアが個別に活動するのを控えるよう呼び掛けていた。既に活動しているのは支援のノウハウを持つ専門的なボランティア団体などにとどまり、県に登録したボランティアは金沢市に開設された一部の避難所に限って受け入れてきた。

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