縄文遺跡群の魅力次々と 東京で世界遺産2周年フォーラム、観覧応募千人超

岡田所長(左)の進行で「縄文の始まりと終わり」をテーマに意見を交わしたパネリスト=28日、東京都

 「北海道・北東北の縄文遺跡群」の世界遺産登録2周年を記念し、縄文遺跡群世界遺産本部(本部長・宮下宗一郎知事)は28日、東京・有楽町のホールでフォーラムを開いた。先着600人の観覧募集に対し千人以上の応募があり、世界遺産登録効果とみられる関心の高まりがうかがえた。パネルディスカッションは「縄文の始まりと終わり」に焦点を当て、研究者らが最近の調査研究結果などを交えて土器や弓矢の出現や当時の気候変動、稲作文化の伝わり方など諸説挙げながら持論を展開した。

 パネルディスカッションは三内丸山遺跡センターの岡田康博所長が進行役を務め、東京大学大学院の根岸洋准教授、北海道文化振興課縄文世界遺産推進室の阿部千春特別研究員、大阪府立弥生文化博物館の禰冝田(ねぎた)佳男館長がパネリストとなった。土器や弓矢はなぜ出現したのか、土器の出現により生活がどう変わったか-などについてそれぞれの見解を語り、過去には貧しかったと評されていた縄文時代は、豊かで多様性があったことなどを共有した。

 阿部特別研究員は「定住の始まりは、人間と自然の対話の始まり。縄文の価値は1万年間、自然の中で定住してきたこと。縄文の価値を普及して地域づくりにつなげたい」、根岸准教授は「学生に発掘調査に行かせたい。また、掘ることを大事にして、現在の17構成資産をもう1カ所増やすことが理想的」と、今後の展望を語った。

 また、青森県から外ケ浜町の大平山元遺跡を担当する同町教育委員会世界遺産対策室の駒田透室長補佐が「縄文の始まりを掘る」と題して報告。同遺跡の出土品などを展示するガイダンス施設が4月下旬にオープンすることを紹介し、参加者に青森県来訪と周遊を呼びかけた。

 観覧した横浜市の会社員渡辺洋子さん(59)は昨年夏から秋にかけて縄文遺跡群の構成資産を15カ所巡ったといい「大平山元遺跡を保存するための民有地取得の話などが興味深かった。ガイダンス施設のオープンに合わせて遺跡を訪れたい」と話した。

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