福島県いわき市の美術家山本伸樹さん(67)が、佐賀市本庄町のプロジェクトスペース「kenakian」で個展を開いている。東日本大震災後の風景や原発事故を想起させる写真をコラージュした作品など約20点で、見る者に無言の訴えを届ける。2月18日まで。
山本さんは1956年に同市で生まれ、東京芸術大大学院を修了した。国内外で展示やパフォーマンスを披露し、40歳ごろ帰郷。2018年と23年には佐賀大芸術地域デザイン学部で集中講義を担当した。
十字架をかたどったコラージュ作品は、津波で破壊された町や飼育牛の写真を貼り、原発事故後の未来を暗示する。電話ボックス型の水槽でヤマメが泳ぐ映像や、佐賀市の干潟よか公園周辺で拾った流木を使ったインスタレーションなど、水に思いをはせる作品も並ぶ。
山本さんは「善悪の判断ではなく、ただ事実を伝えて見る人に問いかけたい」と話す。木~日曜と祝日の午後1時~6時に開場する。入場無料。(花木芙美)