被災地の絆、制服リレー 石巻から232着届く 城南・岡嶋さん夫婦仲介

石巻の店から譲り受けた制服を手にする岡嶋さん夫婦=金沢市役所

 能登半島地震で被災して金沢市内など避難先の中学校に通う生徒に向けて1日、宮城県石巻市の洋品店から制服232着が金沢市に届いた。被災地支援に当たるデザイナー岡嶋健市さん(53)=金沢市城南1丁目=と陽子さん(56)夫婦が石巻市の支援団体の紹介を受け、橋渡しした。制服は市内に拠点を置く団体「制服バンク石川」を通じて被災生徒に提供され、着の身着のまま逃れた生徒を支援する。

 制服は詰め襟の学生服33着、スラックス67着、ワイシャツ102着、セーターやベスト30着。いずれも未使用品で、岡嶋さん夫婦が市子育て支援課に届けた。

 岡嶋さん夫婦は地震発生後、飲料水やおむつ、保存食、カイロをワゴン車に積んで珠洲市内の避難所に届けたほか、市民団体のメンバーとして、金沢市内の2次避難所で避難者に食事を提供する活動に取り組んでいる。

 珠洲市内での活動で知り合った石巻市の支援団体「BIGUP石巻」の元代表から、東日本大震災では制服がなくて困る学生がいたことを聞き、石巻市の榊(さかき)洋品店につなげてもらった。提供を受けた制服は、金沢市に託すことにした。

 岡嶋さん夫婦は自然豊かな珠洲が好きで、昨年9月には、珠洲市三崎町寺家の秋祭りで客人にごちそうを振る舞う「ヨバレ」を初めて体験。もてなしの風習や朝日に輝くキリコの姿に魅了された。

 陽子さんは「避難する学生の助けになればいい。ふるさとから出た人が元の暮らしに戻り、祭りが復活するまで、いろいろな形で支援したい」と話した。

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