「白鳥」最後の食堂車が小松へ 愛好者団体が盛岡から移送

食堂車の移設について計画を話す岩谷さん=小松市土居原町

  ●北国鉄道管理局

 鉄道愛好者でつくる「北国(きたぐに)鉄道管理局」(小松市)は2日までに、国鉄時代に北陸線などを走った特急「白鳥」の食堂車を盛岡市から小松市に移設し、観光に生かすことを決めた。現存する「485系食堂車」最後の1両とされ、所有する盛岡市の男性が「能登半島地震の被災地復興に役立ててほしい」と譲渡を決断した。

 北国鉄道管理局の岩谷淳平代表理事によると、食堂車は1972(昭和47)年製の「サシ481―48」で、気動車だった白鳥が電車化された際に導入された。87年に廃車され、旧国鉄清算事業団によって売却された。盛岡市の山崎賢一さん(70)の所有で、喫茶店営業に活用されたという。

 岩谷さんは、昨年12月28日に山崎さんを初訪問し、小松で食堂車を活用したいと思いを伝えていた。能登半島地震が起きた1月1日、東日本大震災を経験している山崎さんから岩谷さんに「そちらの地域の復興に役立つのなら」と移設を了承する電話があった。

 管理局内の「守る会」が3月以降、ネット上で寄付を募るクラウドファンディングを活用し、第1弾として食堂車の陸送や仮置き場の整地などの費用1500万円、第2弾として食堂車の補修や不足部品調達の費用1千万円を目標に集める。6月以降の移送、9月以降の補修を見込む。

 小松駅近くには、既にボンネット型の特急車両が飾られている。岩谷さんは「食堂車を含む2両に増えれば、食や乗り物などのイベントに活用されていくだろう」と期待を寄せた。

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