ホーム氷見に勝利、元気を ハンド・富山ドリームス 10日のリーグ再開へ闘志

真剣な表情で練習に臨む富山ドリームスの選手=氷見市ふれあいスポーツセンター

  ●拠点が避難所、一時使えず

 能登半島地震で大きな被害に見舞われた氷見市を拠点とするハンドボール日本リーグ男子・富山ドリームスが10日のリーグ再開に向け、熱を込めて練習に励んでいる。ホームの市ふれあいスポーツセンターは地震で避難所となり、約2週間満足な練習ができなくなったが、選手は「言い訳にしたくない」と前を向く。被災地に勝利と元気を届けようと、発災後初の試合へ闘志を燃やしている。

 チームは予定通り1月8日から年明けの始動ができたが、ふれあいスポーツセンターが避難所となったため、急きょ高岡市の竹平記念体育館に練習場所を移した。

  ●実戦練習できず

 本来ならコート1面を使い、ゲーム形式の攻防練習を行うところ、コートは3分の1しか使えず、メニューは戦術確認や筋トレ中心に変更。同センターに戻れたのは1月21日で、地震の余波で今月12日に予定されていたホーム戦も4月に延期となった。

 「生まれ育ったまちの荒れ果てた姿を見て、今の環境が当たり前じゃないと思いました」と、地震での心境の変化を語るのは氷見市出身の森康陽選手(能越ケーブルネット)だ。

 森選手は地震当時、被害が甚大だった同市北大町にある母の実家にいた。激しい揺れの後、津波避難のため家族を乗せて車を走らせると、見慣れたまちが一変していた。至る所で道路が崩壊し、地割れした光景を目にし「現実を受け入れられなかった」と振り返る。

 同時に、ふるさとでアスリートとして活動する意味も考えたという。被災地のチームとして地元に元気を与えたい思いが強まったといい「がむしゃらに相手にぶつかっていく戦いを見せたい。チーム全体が『ここで一発かますぞ』という雰囲気だ」と次戦に息巻く。

 吉村晃監督も「練習での集中力が増し、顔もシュッとした」と選手たちの変化を話す。3月の「春の全国中学生ハンドボール選手権大会(春中ハンド)」が氷見で開催できなくなり、県内男女各2チームの出場の夢がついえたことに触れ「自分たちはプレーする機会を奪われた訳じゃない。地域を背負って戦う意味を考えたい」と力を込めた。

  ●アウェーで募金活動

 地震後初めてのリーグ戦となる10日のアースフレンズBM(東京)戦は、アウェーの東京都大田区総合体育館で行われる。アースフレンズには氷見高OBの清水裕翔、窪田礼央の両選手が所属しており、両チーム合同で被災地の募金活動を行う予定だ。

 チームは現在、1勝12敗で全13チーム中12位と苦戦が続くが、何としても次戦で2勝目をもぎ取りたい気持ちだ。青沼健太主将(富山銀行)は「100%でぶつかりたい。氷見のために勝つ」と力を込めた。

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