墓石の修理追い付かず 金沢市内の石材店、倒壊多数「何年かかるか」

多数の墓石ごと土砂が崩落した墓地=奥卯辰山墓地公園

  ●燈籠、鳥居は後回し

 能登半島地震で一度に大量の墓が倒壊したため、金沢市内の石材店で対応が追い付いていない。墓によって施工手順や扱う石の種類が異なるため、地元の店舗しか直せないケースもあり、各地の寺院などで墓や燈籠(とうろう)が倒れたままとなっている。3月の彼岸までに間に合わない所も多いとみられ、関係者は「全て直すのに何年かかるのか。見通しが立たない」と嘆いている。

 立野石材(入江2丁目)には、寺院などから例年の何十倍もの墓の修理依頼が舞い込んでいる。損傷が少ない墓石を優先的に修理しているが、持ち主を確認したり、現地で被害状況を調べたりする作業に時間がかかっている。番作一之社長は「毎日、修理に追われる日々だ。いつまでこの状況が続くのか見通しもつかない」と話した。

 清水石材店(野田町)によると、北陸特有の天候が墓石修理を妨げる要因となっている。雨が降ると墓石に使う接着剤が乾きづらくなる。テントを張って作業せざるを得なくなり、修理の長期化につながっているという。清水和彦社長は「燈籠や鳥居の修理は後回しが現状だ」と話した。

  ●金沢仏舎利塔見通し立たず

 東山2丁目の天台宗西養寺(さいようじ)では、約600基ある墓のうち9割に当たる540基が倒れたり、欠けたりした。希望者の墓から順に修理を依頼しているが、川崎全寛住職は「石材店が混み合っていて全然修理が進まん。3月のお彼岸までに直してあげたいんやけどね」と話した。

 若松町の金沢仏舎利塔は、仏塔を囲む手すり「欄楯(らんじゅん)」が全壊したほか、香炉台と燈籠1基が倒れ、外壁がはがれた。9月に建立50周年を迎えるが、修復のめどは立っていない。

 仏塔を管理する日本山妙法寺金沢道場は修復工事に向け、支援、協力者を募っている。節目に合わせて大法要を営む予定で、泉行眞上人は「必ずもとの状態に戻し、法要を犠牲者追悼と震災復興を祈る機会にしたい」と話した。

金沢仏舎利塔の被害を確認する関係者=金沢市若松町

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