蓄積疲労で力尽きた韓国は63年ぶり悲願ならず…アル・ターマリ躍動のヨルダンが初の決勝進出!【アジアカップ2023】

[写真:Getty Images]

アジアカップ2023準決勝、ヨルダン代表vs韓国代表が6日に行われ、2-0で勝利したヨルダンが決勝進出を決めた。

2ラウンド連続で120分の戦いを強いられながらも、逆境を撥ね返す驚異的な勝負強さでサウジアラビア、オーストラリアの優勝候補を連破してベスト4進出を決めた韓国。運命のファイナル進出を懸けた一戦ではキム・ミンジェを累積警告で欠いたが、ソン・フンミン、イ・ガンイン、ファン・ヒチャンといった前線の主力がスタメンに名を連ねた。

一方、ヨルダンはイラク、タジキスタンをいずれも90分の戦いで競り勝って4強入り。対戦相手に比べて余力十分のチームはエースのアル・ターマリやアル・ナイマト、アル・マルディら前線の主力を起用した。

グループステージで白熱のドローゲームを演じた両雄によるファイナル進出を懸けた一戦は、地の利、コンディション面で圧倒的に優位に立つヨルダンペースで進んでいく。

ボール保持はイーブンも切り替えのスピード、球際の勝負で優位に立つヨルダンは、スムーズにボールをアタッキングサードまで運んで効果的にフィニッシュまで繋げていく。18分にはアル・ラワブデー、25分にはアル・ナイマトが強烈なシュートを枠に飛ばすが、ここはGKチョ・ヒョヌの好守に阻まれる。

対して消耗激しい決勝トーナメントでの戦いによって全体的に重さが見受けられる韓国だが、前半半ばを過ぎて徐々に押し返していく。

相手ボックス内でのボールタッチが増えると、29分にはボックス内で仕掛けたソル・ヨンウが相手DFと交錯。当初、主審はPK判定もオンフィールド・レビューの結果、逆にソル・ヨンウのファウルを取られて取り消しに。さらに、直後の32分には右サイド深くでファン・インボムが上げた正確なクロスにゴール前でフリーのイ・ジェソンが反応。だが、右隅を狙ったヘディングシュートは右ポストを叩いた。

前半終盤にかけては一進一退の攻防が繰り広げられる。そのなかでヨルダンは42分、ボックス右で鮮やかな仕掛けを見せたアル・ナイマトがDF2枚の間をドリブルでこじ開けてゴール至近距離から右足シュート。だが、GKチョ・ヒョヌが圧巻の顔面セーブで阻止。さらに、こぼれに詰めたアル・ラワブデーのシュートもチョ・ヒョヌが身体の側面でブロック。見事にヨルダンの波状攻撃を一人で防いだ。

ヨルダンペースも韓国守護神の奮闘によって0-0で試合は後半に突入。やや静かな立ち上がりとなったが、韓国の軽率なミスを突いたヨルダンが先制点を奪う。

53分、中盤のパク・ヨンウが不用意にセンターバックへ下げたバックパスを狙っていたアル・ターマリが前向きでパスカット。右から左への運びでDFを寄せてクロスする動きでボックス右に走り込んだアル・ナイマトにラストパス。アル・ナイマトはGKに寄せられる前に絶妙なループシュートを流し込んだ。

これで決勝トーナメント3試合連続で先制を許した韓国は、失点関与のパク・ヨンウを下げてチョ・ギュソンを投入。より攻撃的な[4-4-2]の布陣でゴールを目指す。59分にはイ・ガンインの右CKからチョ・ギュソンにいきなりの見せ場もゴール前で放ったヘディングシュートは枠の上を越える。

先制後は韓国の攻撃を受け止めながら得意のカウンターでチャンスを窺うヨルダンは、前半から攻撃を牽引するエースが魅せる。66分、ハーフウェイライン付近でファン・インボムを囲んでボールを奪うと、右サイドでボールを持ったアル・ターマリが細かいステップワークを駆使したドリブルでペナルティアーク付近まで一人で持ち込んだ得意の左足を一閃。外側から巻いたグラウンダーのシュートがゴール左隅に突き刺さった。

再びミス絡みの失点で窮地に追い込まれた韓国はリスクを冒して前に出ていくと、ソン・フンミンとイ・ガンインが違いを生んでチャンスメークを試みるが、最後のところで身体を張る相手の集中した守備に手を焼く。

その後、後半最終盤の攻防においても付け入る隙を与えなかったヨルダンが2-0の完勝で史上初の決勝進出を決めた。一方、蓄積疲労もあって力尽きた韓国は63年ぶりのアジアカップ制覇の夢が準決勝で潰えることになった。

なお、ヨルダンは10日にルサイル・スタジアムで行われる決勝でイラン代表vsカタール代表の勝者と対戦する。

ヨルダン代表 2-0 韓国代表
【ヨルダン】
アル・ナイマト(後8)
アル・ターマリ(後21)

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