「Z世代」猟師じわり増える 狩猟のやり方はネットで学ぶ、京大生や元新聞記者も参戦

くくりわなの設置方法などを話し合う(右から)岸さんと三味さん、木野さん、酒井さん(京都市北区)

 京都市近郊の山でシカやイノシシを追う20代の若手猟師が活躍している。高齢化が進む猟友会では珍しく、生まれた時からインターネットがあった「Z世代」らしく動画サイトで狩猟技術を独自に学びながら命の重みをかみしめている。

 京都産業大学4年の酒井歩夢さん(22)=左京区=はほぼ毎朝、大学近くの山に仕掛けたわなを見て回る。京都府猟友会上鴨支部(北区)に所属し、月4、5頭の獲物を仕留め、1人で解体して肉を運び出している。

 大学入学前、東京の実家で愛犬に鹿肉を与えていたことから狩猟に興味を持ち、2022年にわなの狩猟免許を取得した。仕掛け方や獲物の解体技術は、ユーチューブなどで独自に学んできた。初めてシカを捕らえた時は涙を流しながら絶命させ、解体した。「命を奪って食べることは重たいことだが、楽しいとも思うようになった」と話す。

 京都府猟友会の猟師計1700人のうち10~20代は計50人。上鴨支部では、免許を取得した京都府立大学大学院の岸大地さん(26)と木野朗斗さん(24)=いずれも北区=が西賀茂や鷹峯でわなを仕掛けている。下鴨支部(左京区)でも、京都大生ら数人がわな猟をするなど、ジビエ料理が注目された近年は若い猟師が増えているという。

 元新聞記者という異色の経歴を持つのはライター三味寛弥さん(29)=北区=だ。猟師の取材を機に21年に猟銃免許を取得し、退職した。週末に上鴨支部の仲間とシカやイノシシを追う。「自分の血肉となる生き物を捕らえて食べるまでの一部始終を実践できる。他の若者もそうした点に引かれているのでは」と推測する。

 上鴨支部の粟津進会長(74)は「高齢化が進む中、若者への期待は大きい。就職後も続けられるよう応援したい」と話す。

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