県写真展、入賞作を厳選 写真家・野町さんの審査開始

出品作を審査する野町和嘉さん=山形市・山形美術館

 第58回県写真展(22日~3月24日)の作品審査が10日、山形市の山形美術館で始まった。ドキュメンタリー写真家野町和嘉さん(77)=東京都、前日本写真家協会長=が審査員を務め入賞候補を厳選した。11日に各賞を決める。

 同展は県写真連盟と山形新聞、山形放送、山形美術館が主催し、県と県生涯学習文化財団が共催する県内最大の公募写真展となっている。今回は427人(前回比28人減)から1950点(同88点減)が寄せられカラー1900点、モノクロ50点となった。

 野町さんは1946(昭和21)年、高知県生まれ。71年にフリーランスとなり過酷な風土に生きる人々の営みと信仰をテーマに世界各地で取材してきた。79年に「サハラ」で第29回日本写真協会新人賞、84年に「バハル アフリカが流れる」「サハラ悠遠」で第3回土門拳賞など受賞多数。2009年には紫綬褒章を受けた。日本を代表する写真家として活躍している。

 審査は非公開で阿部直美県写真連盟会長と菅野滋山形美術館長、県写真展無鑑査認定者の代表が立ち会った。作品は搬入順に台に並べられ地域の祭りや伝統行事、自然や街の風景、人物スナップ、動物や昆虫など多様な場面がそろった。

 撮影技術や表現力を丹念に見極めた野町さんは「全体的にレベルが高いが、どこかで見たような類型的な場面では弱い」とし、最終審査に向けて「撮らされている受け身の写真ではなく、撮影者の視点や思いが強く伝わる写真を上位に選びたい」と話した。

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