宿泊施設、損失20億円 1月の県内推計 氷見、黒部、魚津キャンセル多く

 富山県は15日、能登半島地震の影響で、1月の県内宿泊施設におけるキャンセルの損失が20億1366万円になるとの推計を示した。宿泊人数では8万6209人の減少となる。地震被害が大きかった氷見市だけでなく、黒部市や魚津市などでもキャンセルが多く出ているなど、全体の7割以上の施設で悪影響が出たとみている。

 県は284施設を対象に調査し、111施設から回答があった。1月は観光客が主に利用するホテルや旅館78施設でキャンセルがあり、2月は予約状況から90施設で影響があるとみられる。2019年と比べ、2カ月の合計宿泊者数は5万7064人減り、売上額は7億4502万円の損失が見込まれる。

 一方で、震災復興関連の利用があるとみられる富山市や県西部のビジネスホテルでは需要が増加している。1月は33施設で利用増、2月の予約状況は21施設で増えるとみられ、2カ月の合計は19年同期との比較で、宿泊者数は2万4330人増、売上額は2億1604万円増の見込み。

 観光庁の宿泊旅行統計調査と旅行・消費動向調査の結果と合わせて、キャンセルなどの影響を推計した。

 氷見市宇波の旅館「うみあかり」は地震後、1~3月の予約キャンセルによる損失額が約6600万円に上った。宿泊は1月15日に再開し、2月は前年同月比50%減となる見込み。災害ボランティアやインフラ業者がほとんどで観光客は少ないという。

 観光支援「北陸応援割」には期待するが、「いつから始まるのか」といった問い合わせが1日何十件もあり業務を圧迫している。長田卓也総支配人は「北陸応援割が始まれば、一気に予約が入るだろう」と話した。

 宇奈月温泉の旅館「延楽」は1月の宿泊実績が前年比70%減で、2月も60%減となる見通しで、「予約が伸びない状況」(濱田政利社長)という。ただ、観光支援「北陸応援割」の実施判明後には予約が入り始め、3月は前年比3割増の予約という。

 宇奈月温泉旅館協同組合理事長を務める濱田社長は「宇奈月の宿泊施設はどこも通常営業で、元気に頑張っている。ぜひ足を運んでほしい」と語った。

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