国史跡鳥越城跡「令和の復元」 白山市が新年度 本丸門解体、建て直しへ

現在立ち入り禁止となっている本丸門。白山市は新年度、再整備に着手する=同市の鳥越城跡

  ●大雨被害、崩落斜面を補強

 白山市は新年度、国史跡鳥越城跡の本丸門の再整備に乗り出す。旧鳥越村が23年前に復元した門は老朽化で傾き、放置すれば倒壊の恐れがある。市は文化庁と連携して門を解体し、周辺の遺構を調査しながら再復元する。2022年8月の大雨で崩落した斜面の復旧に向けた補強も進め、白山市が誇る歴史スポットの保全を急ぐ方針である。

 市の当初予算案に関連の事業費を盛り込む。このうち本丸門の解体費用など430万円については、システムサポート(金沢市)の小清水良次社長=旧鳥越村出身=が大雨被害を受けて市に寄付した5千万円の一部を充てる。

 鳥越城跡の正面入口に構える本丸門は高さ約5メートルで、旧鳥越村が1997~2001年度に実施した「平成の復元」事業で整備された。

 ただ、長年の風雪で門や周囲の柵は傷み、市は登山道を含む城跡全体を立ち入り禁止にしている。能登半島地震により、城跡の一部も損壊した。

 鳥越城跡は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界ジオパークに認定された白山手取川ジオパークを構成する歴史遺産の一つで、市は一帯の復旧を終え、早期の公開につなげる。

 本丸門については、新年度に城郭や考古学の専門家の意見を聞きながら解体に取り掛かる。その後、門が建つ地面周辺を遺構が損なわれないよう掘り、基礎部分の強度を確かめた上で建て直す方針だ。使われている部材は腐食を抑える処置を施して再活用する。

 22年の大雨では本丸西側の斜面など7カ所が崩れ落ちた。今年度は測量で被害範囲の調査がおおむね終わり、新年度以降、山肌を補強するための盛り土や緑化など、斜面の保存方法を文化庁と協議し検討する。

 鳥越城跡は織田信長軍の攻勢に最後まで抵抗した一向一揆衆の拠点。標高312メートルの丘陵地に位置し、本丸を中心に五つの区画で構成される。2017年「続日本100名城」に選ばれ、昨年の本紙連載「百姓ノ持(もち)タル国の百年」では重要な舞台として描かれた。

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