広域観光で連携強化 高岡市と金沢市がシンポ 角田、村山市長が一致

高岡市と金沢市が広域観光の推進へ連携強化を確認したシンポジウム=高岡市生涯学習センターホール

  ●加賀前田家の縁生かす

 加賀藩文化を共有する高岡市と金沢市は17日、高岡市生涯学習センターホールで広域観光シンポジウムを開催し、角田悠紀・高岡、村山卓・金沢の両市長は、広域観光の推進に向けて連携強化を図ることで一致した。北陸新幹線敦賀開業を控え、加賀藩前田家によって育まれた両地域の歴史や文化、観光資源に磨きをかけ、広域観光ルートの構築を目指すことを確認。両市連携による観光振興が能登半島地震の復興にもつながると期待を込めた。

 シンポジウムは両市、富山新聞社、北國新聞社が主催した。金沢学院大の東四柳史明名誉教授の基調講演とパネルディスカッションの2部構成で行われた。

 パネルディスカッションでは角田市長が2代利長によって開かれた高岡の歴史に触れ「一国一城令で高岡が廃城となったが、加賀藩が産業振興に力を入れ、商工業の町としての歴史がスタートした」と説明した。

 利長が呼び寄せた鋳物(いも)師(じ)が銅器産業の礎になったと指摘。ものづくり体験や工房見学を通じ、高岡のクラフトを体験できるツアー造成に意欲を示した。製品の品質、歴史的背景を知ることで製品の付加価値が増し、満足度の高い体験が「ファン化」とリピーターの獲得につながるとした。

 村山市長は金沢が近世から現代まで大きな戦禍が避けられたことで歴史的な町並みを保っていることを紹介したほか、「歴代藩主による芸術、工芸、芸能が受け継がれている」と歴史都市としての礎を紹介した。

 その上で、芸妓文化を継承するための支援や、素囃子や茶道などを体験する子ども塾の取り組みに力を入れているとした。

 「伝統文化や工芸技術の継承が観光誘客、リピーター獲得につながる」と強調し、明治以降の近代建築や、金沢21世紀美術館といった新たな文化の発信にも意欲を述べた。

 北國新聞社の野口強論説委員がコーディネーターを務めた。富山、石川の約150人が参加し、蔵堀祐一富山県副知事、武隈義一黒部市長、塩谷雄一高岡商工会議所会頭らが聴講に訪れた。

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