野々村チェアマン「“ABC契約”の変更を目指す」 今季は契約制度と選手育成の改革を目指すことを説明

19日、都内にて『2024 Jリーグ開幕 PRイベント』が開催され、イベント冒頭で野々村芳和チェアマンがスピーチを行った。

野々村チェアマンは冒頭で「2024シーズンがいよいよ2月23日から始まります。昨年、Jリーグは開幕30周年という節目を迎えました。今季は新たなスタートとなる重要な1年になると思っております」など挨拶し、まずは昨季を4つのトピックスで振り返った。

■昨季の4つのトピックス

1つ目は観客動員数。昨年は1,096万人が観戦に訪れ、コロナ禍前の2019シーズンと同水準まで引き上げることに成功した。2つ目は、2023年の地上波テレビ露出量が前年比3倍となったこと。3つ目は、リーグと全クラブを合わせた売り上げが、速報値ながら1,700億円の見込みで、過去最高益となった。4つ目は、2026年から秋春制(8月開幕、5月頃閉幕)へ移行し、より魅力的なリーグを創るために今後も継続検討していくことを決議したこと。

以上を挙げて、野々村チェアマンは「クラブはもちろん、選手、監督、パートナーの皆さんとともに、日本サッカーがどうありたいか、多くの時間をとってコミュニケーションをしてきた。さまざまな課題、もっと良くしていくためにどうすればいいか、また開示していきたい」と総括した。

■次の10年で目指す姿

次に、今後の目標について言及。究極の目標は「Jリーグが世界のトップリーグになること」だと語り、次の10年で目指す姿として3つを提唱した。

1つ目は「アジアで勝ち、世界と戦うJリーグ」にすること。AFCチャンピオンズリーグで優勝し、FIFAクラブワールドカップでベスト8以上を残す。そして、トップクラブの経営規模を200億円にすることを目標にした。

2つ目は「欧州リーグ選手とJリーグ選手による日本代表」にすること。Jリーグの中に「世界基準」を作るとして、日本代表のJリーグ選手の割合30パーセントに引き上げたいという。

3つ目は「全Jクラブの経営規模を1.5倍から2倍」に引き上げること。トップラインを引き上げながら、それぞれのクラブがそれぞれの地域で輝く存在にしたいとした。

■2024シーズンの改革

そして、昨季から変化した制度を説明した後、今季行いたい『2つの改革』について言及した。

1つ目は「契約制度」の変更を目指すと宣言。野々村チェアマンは「当時と比べると、海外への移籍が盛んになり、環境も変化になる。Jが選手に選ばれ続けるために、契約制度を見直すことに着手したい」と話した。

現行の“ABC契約”と呼ばれる統一契約書には、Jリーグ独自のルールが存在し、新人選手の“C契約”は、年俸の上限が480万円と定められている。出場時間などの条件を満たせば、年俸制限のないA契約に移行できるが、ここ最近はJリーグを介さず、直接海外のリーグへ渡る選手も増えており、改革の望む声が挙がっていた。

2つ目は「選手育成」について。野々村チェアマンは「助成金制度を新設したい」と語り、「これまで各クラブの育成の水準を上げようという全体での取り組みが多かったが、リーグ費用でクラブ独自のものにも対応していきたい」と話した。

その後、2024シーズンに「国立競技場の開催試合が増加する」ことや「テレビ露出のさらなる増加」、「公式戦全試合を再生可能エネルギーで開催すること」などを目指すと語り、スピーチを終えた。

明治安田J1リーグは2月23日(金)、明治安田J2リーグと明治安田J3リーグは2月24日(土)から開幕する。

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