酒田市、アリーナ建設断念 アランマーレ「資金確保が困難」

アランマーレのアリーナ建設を断念すると発表した矢口明子市長=酒田市役所

 バレーボールVリーグ女子1部プレステージ・インターナショナルアランマーレのアリーナ整備を検討してきた酒田市は19日、建設を断念したと発表した。数十億円から百億円超とされる整備資金の確保が困難なことを理由に挙げた。プレステージ・インターナショナル(PI、東京・玉上進一社長)との連携、アランマーレへの協力は従来通り継続するとした。

 矢口明子市長が同日の臨時記者会見で明らかにし、「選手、監督、関係者の皆さんに申し訳ない気持ちでいっぱいだ」と述べた。酒田市をホームとするアランマーレは、2024~25年シーズンから始まるSVリーグ参入を予定している。同リーグのライセンス要件では、5千人以上が入場可能なホーム会場整備が30年までに必要となる。それまでの間は3千人以上とする経過措置が取られ、チームは天童市の県総合運動公園アリーナを来季のホーム会場として申請した。

 酒田市は、昨年4月からPI社と民設民営や公設民営での整備を模索してきた。候補地は10カ所程度あったという。今年1月の協議で玉上社長から「酒田市には無理をさせたくない」との話があり、建設を断念したと説明した。国や県に支援を要望したが、適当な国の補助制度がなく、県総合運動公園の施設整備が済んでいるとして県から支援を受けることも困難な状況だった。

 一方、SVリーグの要件について、矢口市長は「地方都市には厳しすぎるのではないか。地方にスポーツの素晴らしさを伝えるために条件の再考も必要ではないかということを、機会あるごとに申し述べていきたい」とした。

 取材に対し、アランマーレの西尾博樹ゼネラルマネジャーは「当面、酒田を拠点に活動することは変わらないが、対応を検討しなければならない」と語った。

 アランマーレを長く支援している酒田地区バレーボール協会の鈴木剛一会長は「個人的にとても残念。今後、どういった形になろうとも応援は続ける」と話した。ファンの一人、会社役員斎藤勝利さん(64)=遊佐町=は「どこがホームでもチームを応援する気持ちは変わらない」と語った。

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