青森県、がん精密検査の受診費用補助へ 都道府県初、早期発見促す

 青森県は2024年度、市町村が行うがん検診で精密検査が必要とされた人向けに、精検の受診費用を補助する事業を始める。県の次期基本計画で掲げる「がんの克服をめざす社会」の実現に向けた取り組み。精検受診率を高めて早期発見・治療を促し、全国ワーストが続く青森県のがん死亡率改善につなげる。県によると、都道府県単位でがん精検の受診費用を補助するのは全国初という。

 厚生労働省が検診を勧めている5大がん(胃がん、大腸がん、肺がん、乳がん、子宮頸=けい=がん)全てが対象。がんの種類ごとに、各年度で初回に受けた精検費用を補助する。上限額は胃がん5千円、大腸がんと肺がん6千円、乳がん4千円、子宮頸がん3千円。基本的な精検メニューに対して、自己負担で支払う金額の相場を補助の上限に設定した。県と市町村が、補助額を2分の1ずつ負担する。県は24年度一般会計当初予算案に、関連経費3598万円を計上した。

 国立がん研究センターのまとめでは、がんによる青森県の75歳未満年齢調整死亡率(人口10万人当たりの死亡者数)は、22年まで19年連続で全国ワースト。部位別でも、5大がん全てが全国ワースト水準にある。

 がんの死亡率を改善させるためには、がんの早期発見・治療が重要。市町村は、がん検診で「要精密検査」と結果が出た人向けに、精検を受診するよう求めている。しかし、大腸がんの受診率が74.6%(20年度)にとどまるなど、必要な人が精検を受けていない実情がある。

 県によると、がん精検をテーマにした各種調査では、精検を受けない理由として「費用がかかる」点を挙げる人が一定割合いる。精検費用の補助により受診しやすい環境づくりにつなげ、精検受診率100%を目指す。

 県は、必要な人全員が大腸がんの精検を受けると、がんの発見が現状の115人から約150人に増えると推計する。五つのがん全てで受診率が100%になった場合は、従来なら見過ごされてきた約60人のがんを発見できると見込む。

 県がん・生活習慣病対策課の三村光司課長は「症状が出る前の早期にがんを発見し、治療につなげられれば、診断から5年後の生存率が格段に上がる。今回の検診対策を通じて、がんの早期発見・早期治療に強い関心を持ってほしい」と話した。

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