青森県の小中給食無償化、補助10月分から 全国初の全県一律 県立、私学も対象

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 青森県は2024年度一般会計当初予算案で、全県での小中学校学校給食費無償化に主眼を置いた子育て支援の交付金制度創設を正式に表明した。各市町村の予算化手続きを念頭に、10月から半年分の事業費として総額19億5409万円を計上した。県立中学校や特別支援学校、私立中学校や大学付属の学校についても、無償化の補助対象とする。既に実施済みの市町村には、ほかの子育て費用無償化などの政策に交付金を充ててもらう。県によると、都道府県単位で一律無償化に取り組むのは全国初となる。

 県のまとめでは、主食とおかず、牛乳がセットの「完全給食」のほか、おかずや牛乳のみの給食も含めると、県内40市町村全てが何らかの形で学校給食を提供している。このうち17市町村で現在、給食費の完全無償化を実施している。

 新設の交付金の使い道は、学校給食費の無償化を最優先とする。23年度の全市町村の学校給食費平均単価を基に、1食当たり小学校280円、中学校310円を上限に、無償化に必要な経費を全額補助する。これから完全給食の実施を予定する市町村には、基金への積み立てを認める。

 給食費の完全無償化を既に実施済みの市町村に向けては、別の子育て費用(子ども医療費、保育料、保育所の給食費など)無償化や、市町村が独自に行う子育て支援事業費の8割を県が補助する。県の当初予算案が成立してから、各市町村が補正予算を組む手続きを想定している。

 今回の交付金創設は、不妊治療費助成などと併せて、合計特殊出生率を2へと引き上げる道筋をつける「青森モデル」確立への事業の一環と位置付けた。宮下宗一郎知事は20日の会見で「給食無償化は影響範囲が広く、社会全体で子育てを応援するというメッセージとして一番広がりがあると思った。給食費にとどまらず、段階的に連鎖的に県内の自治体で子育て費用の無償化が進んでいく」と狙いを強調。「無償化だけでは、合計特殊出生率には跳ね返らない。総合的な政策をしっかり打ち出すところが青森モデルのスタートになる」と述べた。

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