ユーロ圏、23年第4四半期に妥結賃金の伸び鈍化=ECB

[フランクフルト 20日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)の20日の発表によると、ユーロ圏では昨年第4・四半期の妥結賃金の伸び率が4.46%だった。2005年の統計開始以来の高水準だった前期の4.69%から伸びが鈍り、賃金上昇はピークを付けたとする市場の見通しが裏付けられた。

ECBは利下げを開始できるか、インフレとの闘い完了を宣言できるかを判断する上で賃金を最も重要な変数と位置付け、妥結賃金の動向を注視。今後3カ月間で発表される今年の妥結賃金データは利下げ幅を決定する上で重要な指標だとしている。

ECBのチーフエコノミストを務めるレーン専務理事は、賃金の伸び率が3%程度であれば2%のインフレ目標と整合すると以前から述べている。しかし労働者は依然としてインフレで目減りした実質所得を取り戻そうとしており、今年は賃金の伸びが加速する可能性もある。

ただ、INGのエコノミスト、バート・コライン氏は「(第4・四半期の妥結賃金の伸びの鈍化は)わずかだが、今年は妥結賃金の伸び率が低下基調になり始めるという予想に概ね合致している」と指摘。「夏場の前には名目賃金の伸びがかなりはっきり落ち込む」と予想した。

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