青森県の漁獲量 4年連続で最低更新 2023年、11%減11万7029トン ホタテ、スルメイカ不振

 青森県が21日公表した2023年の海面漁業調査結果によると、年間漁獲数量は前年比11.3%減の11万7029トンにとどまり、1958年の統計開始以降で最低だった。過去最低の更新は4年連続。主要魚種であるホタテガイの高水温被害や、長引くスルメイカの不漁などが響いた。漁獲金額は同4.0%減の378億1459万円となった。

 魚種別では、ホタテガイの漁獲量が前年比27.6%減の5万6545トン、金額は同14.2%減の134億300万円。昨年夏の高水温被害を受けたホタテは、出荷するための貝のへい死や親貝確保のための出荷抑制が響いた。

 22年の採苗不振による貝不足も影響しているとみられる。

 スルメイカの漁獲量は同28.1%減の4732トン、金額は同16.0%減の47億1100万円。太平洋、日本海とも資源量が少ない状況が続いている。

 サバの漁獲量は前年比18.6%増の4892トン。資源量は増加傾向にあるものの、海洋環境の変化により漁場が青森県太平洋沿岸から遠のき、ばらついて形成されたとみられ、平年に比べると漁獲量は74.8%減で大幅に下回った。金額は前年比27.9%増の4億1900万円。

 県内2事業者が生産する「青森サーモン」と「海峡サーモン」を指す海面養殖ニジマスは規模拡大により、漁獲量は前年比0.2%増の1680トン、金額は同67.9%増の14億9100万円となり、いずれも「ニジマス」の項目を設けた2019年以降、4年連続で最高を更新した。

 マグロの漁獲量は前年比1.8%減の770トン、金額は同1.1%増の25億3700万円だった。

 漁獲量は対前年比で20年が12.6%減、21年が13.5%減、22年が8.8%減で推移しており、落ち込みの大きさが目立っている。

 4年連続で最低を更新したことに対し、県水産振興課の種市正之課長は「漁船漁業、養殖漁業ともに厳しく、資源が減ってきていることが顕著に表れた。天然資源を捕まえる漁業だけでは本県漁業は立ちゆかなくなる」と懸念を示し、「適切な資源管理や水産業を成長産業化させるための取り組みなどを強力に進めていきたい」と話した。

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