八戸港A棟の運用見直し正式表明 青森県八戸市、改善方策奏功せず

八戸市が利用率の低迷などを理由に運用方針を大幅に見直す八戸港第3魚市場A棟=21日午後

 利用が低迷する八戸港第3魚市場A棟を巡り、青森県八戸市の熊谷雄一市長は21日、フィッシュポンプなどを撤去し第1魚市場と同様の巻き網船の荷さばき所として使用するよう運用方針を見直すと正式に表明した。改善方策を講じてきたが水揚げ数量が増えず目標を大幅に下回っていることや、サバの不漁が続いていることが理由。市議会議員全員協議会で説明した。

 同日発表した2024年度一般会計当初予算案で、国への補助金返還金295万円を計上したほか、魚市場特別会計当初予算案では建屋改修の設計、魚体搬送設備の撤去費など計6750万円を盛った。A棟は今後、巻き網船による水揚げ量が大量でトラックの手配が間に合わない場合など、専用タンクに一時保管できる強みなどを生かして利用率向上を目指す。A棟は整備費として国と市から約32億8千万円が投入され、昨年度まで年間約2千万~1億1千万円の赤字を11年連続で計上してきた。

 21日の全協で、熊谷市長は「これまで2回の改善計画を策定しさまざまな方策に取り組んできたが、目標達成に至っていない。現在の漁模様から今後の稼働も厳しさが想定される」と説明。議員から厳しい声も上がり、五戸定博議員は「巨費を投じて造ったものであり、市民に対して説明し謝罪すべき」とただした。

 市の方針転換について、同市の卸売業・八戸魚市場(うおいちば)の川村嘉朗社長は取材に「道筋が決まりすっきりした。計画に無理があった。現実的な数字で計画すべきだった」と語った。

 A棟はサバに特化した高度な衛生管理基準EU・HACCP(ハサップ)を満たした国内初の荷さばき施設。12年10月の稼働以来、年間3万1200トンの水揚げ目標に対し、達成率は10%未満で推移。21年度からの第2回改善計画では目標を年間2万1千トンに減らし対象魚種にイワシを加えたものの事態は好転せず。最も水揚げされた17年度で7.4%(2305トン)にとどまった。同計画最終年度に当たる本年度は0.6%(116トン)だった。

© 株式会社東奥日報社